二十二 ページ24
ばん、と火影邸の執務室の扉が開いて、弟が飛び込んできた。
どうやら、影分身らしい。
いつもは冷静な扉間が血相を変えて飛び込んでくるとは、何かよほどのことがあったに違いない。
そう思った柱間は、神妙な面持ちで扉間を見上げた。
｢兄者、他里の忍びに、里の者が攫われた｣
｢どういうことぞ｣
｢ワシの知り合いが昨夜から姿を消しておる。他にも何人か行方不明だ。警備の者には気付かれずに侵入したらしい。が、先程感知してみると、この里の者ではない忍びのチャクラを感じた｣
｢ふむ。最近岩隠れが木の葉に何度か使節を送ってきていたな。だが無理な案件ゆえ断っておったが、｣
｢恐らくそれだ｣
早口に言うと、扉間は机にばん、と両手をついた。
｢とにかく、遠くへ逃げられる前にすぐ探し出すべきだ。ワシの本体は既にむかっておる。医療班と感知タイプの者を組み込んだ小隊を、｣
｢分かった、落ち着くんぞ扉間｣
兄に制されて、はっとする。
こんなにも焦っている自分に、扉間は内心驚いた。
柱間は付き人に隊を組むよう指示し、付き人が部屋から出ていくのを見守ってから、扉間に向き直った。
｢扉間｣
｢なんだ兄者｣
｢大切な者なのだな｣
｢ああ｣
バレたか、と扉間は照れ臭そうにそっぽを向く。
柱間は優しく微笑むと、ゆっくりと口を開いた。
｢全力で助け出すんぞ。行け｣
扉間は決意の固まった目で真っ直ぐ柱間を捉えると、こく、と頷いた。
ぽふ、と影分身が消えるのを見届けて、柱間も立ち上がった。
ｰｰｰ
扉間は木々の間を猛スピードで移動しながら、ふとするとすぐに浮かんでくる悪い思考を何度も頭から振り払っていた。
その表情はいつもより数段険しくなっていて。
額には汗が滲んでいる。
と、影分身が解除されて、その記憶が脳内を駆け巡る。
次の瞬間、扉間の目はより真剣なものへと変わっていた。
口元は少しだけ緩んでいて。
その姿はいつもの、戦場を悠々と駆け巡る、冷静な扉間に戻っていた。
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K(プロフ) - あとがきを読んで泣いてしまいました...貴方様のお陰で、なんだか少し救われたような気持ちになりました。重たい感情で申し訳ないです...この作品を書いてくださってありがとうございます！！ (2021年3月30日 1時) (
レス) id: 29a0737890 (このIDを非表示/違反報告)
maho(プロフ) - 本当に素敵なお話でした！とても面白かったです！ (2020年8月5日 14時) (レス) id: ad2d13c9c0 (このIDを非表示/違反報告)
夜神 零彼 - もうなんか凄いですね！ 感動しました！最後のしまりが良かったです！ (2020年4月3日 17時) (レス) id: 84e498c4cd (このIDを非表示/違反報告)
如月 - おぉ！ありがとうございます！(*´∀｀*) (2019年1月18日 22時) (レス) id: 699e158105 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます！なるほど、何か短いものを、思いついたら書いてみますね〜！ (2019年1月5日 22時) (レス) id: a22cf2b507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 x他1人 | 作成日時：2018年5月14日 8時
