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二十一 ページ23

目を開けると、そこは薄暗かった。
周囲はゴツゴツした岩で覆われていて、向こうの鉄格子の間から外の光が細く差し込んでいる。
手首に、冷たい感触。
両腕は後ろで縛られており、足首にも縄がきつく結ばれていて、容易には取れそうにない。

すん、と鼻をすする音が聴こえて、暗闇に目を凝らす。
目が慣れてくると、ここには私以外にも数人、捕らえられている人々がいるようだ。
お年寄りが一人と、若い女性が一人、そして小さな子どもが二人…いや、三人いる。
奥の方にもまだ何人か居るかもしれないが、ここからはよく見えない。

細く差し込んでいた光が、時々遮られる。
足音はないから、忍びかな。

「あの」

若い女性が、目覚めた私の顔を覗き込み、声をかけた。

「あなたは、どこの里の方ですか」
「私は木の葉の里の者です」
「そうなんだ…やっぱり、ここの人達は全員木の葉の里の方達のようですね。もちろん、私も」

頷く女性の髪は後ろで1つに束ねられている。
オレンジの、胸元のゆったりしたトップスに、白いショートパンツ。
恐怖からか、その口元は固く結ばれている。

「いつから、ここに?」
「分かりませんが、昨日の夕方に道を歩いていて、それで…ここに連れてこられたのだと思います。目覚めたのは私もついさっきで」
「そうでしたか。きっと助けがすぐに来ます。私は少しだけですが忍術の心得があります。希望をもって、抜け出す隙を待ちましょう」

私の言葉に、女性の顔がふっと緩んだ。
私は、そういう忍びになりたかった。
困っている人、身に危険が迫っている人を、助けられるような忍びに。
自分の安全も守れない私に、そんな夢は叶えられっこないけれど。
でも、この状況で冷静でいられる自分に、少しだけ、自信がわいた、気がした。

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設定タグ:NARUTO , 千手扉間   
作品ジャンル:恋愛
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K(プロフ) - あとがきを読んで泣いてしまいました...貴方様のお陰で、なんだか少し救われたような気持ちになりました。重たい感情で申し訳ないです...この作品を書いてくださってありがとうございます!! (2021年3月30日 1時) (レス) id: 29a0737890 (このIDを非表示/違反報告)
maho(プロフ) - 本当に素敵なお話でした!とても面白かったです! (2020年8月5日 14時) (レス) id: ad2d13c9c0 (このIDを非表示/違反報告)
夜神 零彼 - もうなんか凄いですね! 感動しました!最後のしまりが良かったです! (2020年4月3日 17時) (レス) id: 84e498c4cd (このIDを非表示/違反報告)
如月 - おぉ!ありがとうございます!(*´∀`*) (2019年1月18日 22時) (レス) id: 699e158105 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます!なるほど、何か短いものを、思いついたら書いてみますね〜! (2019年1月5日 22時) (レス) id: a22cf2b507 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲 x他1人 | 作成日時:2018年5月14日 8時

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