十 ページ11
｢たしかに、｣
マダラ師匠は腕を組んだまま私を見つめた。
｢忍術は使えんようだな｣
｢だから言ったじゃないですか…｣
しゅんとする私の肩をマダラ師匠がぽんと叩く。
｢が、修行すればそれなりの護身術くらいは身につくだろう。体術が鈍ってるからな、鍛え直してやる｣
｢う…｣
意地悪そうに口角を上げるマダラ師匠に、頬を膨らませてみせる。
でも、本当は嬉しくて仕方ない。
忍び同士の戦闘は出来ないかもしれないけど。
強くなって、周りの人たちを助けたい。
そんな気持ちが、私を修行へと駆り立てる。
｢貴様には大切な者がいるか｣
マダラ師匠の低く落ち着いた声が、私に問いかける。
私の頭に浮かんだのは、…扉間さん。
｢大切な者を守りたいと思った時、人は本当に強くなれるものだ。オレは弟を守れなかったが…Aにもし大切な者が居るのなら、これから身につける力を十二分に発揮して、そやつを守れ。後悔をせぬようにな｣
ぽん、と頭を撫でられて、心が暖かくなる。
なんだか、私のお兄さんみたい。
それと同時に、扉間さんへの想いが、胸を締めつける。
あの方は強いから、私のような者が守らなくても大丈夫かも知れないけれど。
あの人の隣で、笑っていたい。
あの人に何かあれば、できる限り手を尽くして助けたい。
心がきゅっと締めつけられていく。
ああ、私は、扉間さんが好きなんだ。
チュン、とツバメの雛が鳴いた。
見ると、タオルから頭をもたげてこちらを見ている。
よかった。
無事だったんだね。
｢意識はあるようだな。早めに巣に戻してやろう｣
マダラ師匠が立ち上がるのを見て、私も雛が巣へと帰る瞬間に立ち会うべく、ゆっくりと立ち上がった。
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K(プロフ) - あとがきを読んで泣いてしまいました...貴方様のお陰で、なんだか少し救われたような気持ちになりました。重たい感情で申し訳ないです...この作品を書いてくださってありがとうございます！！ (2021年3月30日 1時) (
レス) id: 29a0737890 (このIDを非表示/違反報告)
maho(プロフ) - 本当に素敵なお話でした！とても面白かったです！ (2020年8月5日 14時) (レス) id: ad2d13c9c0 (このIDを非表示/違反報告)
夜神 零彼 - もうなんか凄いですね！ 感動しました！最後のしまりが良かったです！ (2020年4月3日 17時) (レス) id: 84e498c4cd (このIDを非表示/違反報告)
如月 - おぉ！ありがとうございます！(*´∀｀*) (2019年1月18日 22時) (レス) id: 699e158105 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます！なるほど、何か短いものを、思いついたら書いてみますね〜！ (2019年1月5日 22時) (レス) id: a22cf2b507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 x他1人 | 作成日時：2018年5月14日 8時
