28話 ページ30
「あいつ、ちゃんと帰ってこれんのかね」
ネクタイを外して、ベッドに倒れるように寝転がる。すると、上にひなが覆い被さる。
愛らしい顔のわりに身長が大きいひなは、俺を影に染め上げた。
「えぇー、今からスんの?」
「そうしたいけど……」
ぐいっと息がかかりそうなほど顔を近づける。丸い瞳に映る自分は、情けない面をしてた。
「要さんと電話してから、変ですよ」
的を射た発言だった。
人のことに目敏いのはいいと思う。俺の感情も、ひなの目で気づかされることが多い。
白すぎる頬を両手で挟み、柔らかい感触を堪能する。
「ちょ、ちょっと」
「んー、そう。ちょっとなんだよねぇ」
「んにっ、にゃにが……」
揉まれているせいで口があまり動かせず、ちゃんとした言葉を話せない。
猫みたいな言葉に愛しさが込み上げ、頬から手を離してやった。
少し痛かったのか、頬を擦る。今度は触り心地のいい髪に指を通して、言った。
「ちょっとショックなことあって」
それに不思議そうに目を丸くし、すぐに顔をしかめる。
「ううん、かなじゃないよ」
「じゃあどこのどいつが、Aさんをそんな顔にさせやがったんですか」
どちらにせよ、最上級に不機嫌になってしまった。俺のこととなると感情の変化が激しい。
だからずっと傍に置いておきたいのだが、そのぶんすぐに手も出るのでなかなか出来ない。
「どいつでもないよ。話聞いて、ショック受けたの」
「なんの話ですか?」
「人が死んだってハナシ」
すると目を伏せ、ごめんなさいと謝る。見えない犬耳と尻尾が見えた。
こういうところが、たまらなかったりして。
「ひな。……ん」
口を開けて、舌を出す。そうしてキスをねだると、求められたままに舌を絡める。
歯列をなぞり、舌先を吸う。一瞬唇が離れると舌を甘噛みした。
ひなのキスは甘く感じる。
「ふ……ぇあ、あ……んむ」
舌遣いは優しく、確実に意識が薄れそうな、感度のいい箇所を狙ったり。
ひなは受けだけど、たまには挿入れられたい。そう思わせるほどに、ひなに甘く蕩けてしまう。
唇を離し、荒い息をする。口の端から唾液を舐め取られ、下腹部がビクついた。
「はぁ、はぁ……ひな……」
「……ん、はい」
口の回りを袖で拭い、熱を秘めた目が俺を捉える。獣みてぇに鋭い眼光だった。
股間に手を伸ばし、膨らみを見せているソレを撫でる。
腰に脚を絡めて引き寄せると、俺のモノと当て艶かしく囁いた。
「シていーよ――?」
どうしたら、悪戯っぽく笑うあいつを忘れられるんだろうな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 163人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
