【赤井秀一】【bl】燃ゆる花弁に口づけを (ページ31)

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29話ページ31

「……落ち込んでると思って慌てましたけど、そうでもありませんね」

「んぁ……あ、かな。おかえり～」

「ただいま戻りました」

腹の奥を突く快感に喘いで、どこか残念そうなかなを裸で出迎える。

ぎゅ、と締め付けるとひなのソレが反応する。すると、腰を浮かして子犬みたいに鳴いた。

「珍しいですね。ひなに抱かれて…………いや、抱いてる?」

「ちがうー、抱かれてんの」

へえと呟き冷蔵庫を開けて、麦茶をコップに注ぐ。
もう夕方だが外はまだ暑いらしい。

ごくりと喉が上下する。渇きを満たそうとひなのを飲んだりしたが、水分としては吸収されないし。

あと一回イったら飲もう。

腰を掴んでいる手に触れると、意図を汲んで中を激しく突く。

ずいぶんとシているから体力はもうないと思ったけど、全然だった。さすが若者。

「あ、あんっ、ん、ぃ……はぁ、あぃ……くっ」

「――っ」

脳まで伝達する強い絶頂に痙攣する。雷にでも打たれたような、この感覚は好きだ。

ふと奥に熱いものを感じ、見るとひなも疲れたように息を荒くしていた。

ひなの腹の上に吐き出した白い液体。それを、横から伸びた手が指先で掬う。

まるで、食べ物に汚れた指先でも舐めるように味わう。

「ばっちーよ、ぺっしなさい」

「そんなことより早くシャワー浴びてきてください」

「むりー、まだ休みてぇー」

「本当に休みたいのはひなだと思いますけど。はぁ……まぁ、他に用事ありませんからね」

最終的に説得を諦めて、ベッドに腰を下ろす。あらゆるもので汚れているのを承知の上で。

くい、と袖を引く。
片方の手に持っているコップを指差し、言った。

「のませて」

持ち手を変えて、俺の唇にコップを傾ける。少しずつ、冷たい麦茶が喉を通っていく。

正直口移しで、という意味で言ったんだけど。喉渇いてるし。

「ん……ぅ、あ」

上手く飲めずに口の端からこぼれる。すると、コップを口から離して、こぼれた麦茶を犬みてぇに舐めた。

「……あー、これはこれでラッキー」

「そんなこと考えてるだろうと思ってしなかったんですけど。こぼれましたしね」

「なにおまえ、いじわる」

「Aさんに比べて俺の意地悪さは、赤ん坊みたいですよ」

小生意気な発言を堂々とし、眉を跳ね上げる。挑発的なことを言うのは珍しいからだ。

俺の考えていることを正確に先読みするのは、かなだけかもしれない。

なんて考えて、少しつまらなく思う。

「てい」

「いって」

分厚い胸を力いっぱい殴り付け、ひなの上で迷惑にもふて寝した。