鼻で耳で肌で 2 ページ18
累が伸ばした手は、真蛇の面へは届かない。
それは、楽空の殺意のない刀によって阻まれた。
地面に累の腕が転がった。
「なん、でっ...」
累が驚く。
「私は君に助けを求めてない。」
感情がないかのように、面の奥から少し籠った声が聞こえる。
「...家族なら、僕が守れる。」
諦めの悪い累に、楽空は久々にイラつきを覚える。
「守られるほど弱くない。」
楽空はそう言うと、累に背を向ける。
「家族は作るものじゃない、自然と、なるようになるものだと、私は思うよ。」
楽空は雲に消える。
累はそれを眺めていることしか出来なかった。
〇
楽空は山を駆けていた。
要件は終わった。
普段ならもう帰路についているのだが、
何処か嫌な予感がして、山を駆ける。
そして行き着いたのは、月明かりの射す大きな岩のある少し開けた場所。
人がいた。
人と言うより、鬼。
その鬼に近づいてくる気配がある。
私は音を立てないように、息を潜め、身を隠す。
その者は、途中で型を変えた。
鬼が頸を差し出したからか、優しさに溢れていた。
「十二鬼月がいるわ、気をつけて...!」
鬼はそう言って消えた。
その鬼が消えるのを見届け、場所を移動する。
その時、小さな両耳の鈴が可愛らしく音を立てた。
「(どこからだ?…この戸惑いの匂いは……。)」
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あい - この物語とても面白いです。続きが早く見たいです。 (2020年1月25日 23時) (レス) id: bcb6bd7e00 (このIDを非表示/違反報告)
なか(プロフ) - 金米糖さん» そんな勿体ないくらいのお褒めの言葉ありがとうございます!これからも精進して参りますのでどうか見捨てないようお願い致します! (2019年12月8日 7時) (レス) id: f9727ae2bd (このIDを非表示/違反報告)
金米糖 - また読んでしまいました。何回でも読みたくなるお話を作れて尊敬します。 (2019年12月3日 21時) (レス) id: e31feca5f7 (このIDを非表示/違反報告)
なか(プロフ) - 瑠奈さん» コメントありがとうございます!捏造に想像を重ねて物語を作っておりますので、どうか楽しんで頂けたら幸いです! (2019年11月28日 12時) (レス) id: f9727ae2bd (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 初コメ失礼します!とても面白いです!続きが楽しみです!無理せず作者様のペースで更新頑張ってください。 (2019年11月28日 0時) (レス) id: c8f2fa6e5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なか | 作成日時:2019年11月19日 11時