検索窓
今日:6 hit、昨日:8 hit、合計:104,421 hit

イルカは半分だけ眠る6 ページ26

「あ、起きたんだね織田作。気分はどう?」
「……さいあくだ。二日酔いになった」
「まあ、あんだけ飲めばねぇ」
はい、と水を手渡された。
私はベッドから上半身だけ起き上がり、ありがたくそれを受け取る。
「ここは?」
「私の家。織田作の家を知らなかったから」
「そうか、すまない」
「いいって。気にしないで」
私の家を知らないって事はあり得ないだろう。
優秀過ぎるその頭脳は、私の家の場所ぐらい覚えてるはずだ。だってこの前介抱したじゃん。
なら何故私を連れ込んだ。太宰は記憶を持っている。もう直ぐ『黒の時代』が始まる。

これが、太宰なりの『織田作を死なせない方法』なのだろうか。わからない。

「ねえ、織田作」
「なんだ」
こちらを向いた太宰は満面の笑みを浮かべていた。
「暫くうちに居てよ」
「それは出来ない。仕事がある」
「有給は取ったから」
「あれって本人以外でも取れるものなのか」
おい何勝手に取ってんだ。ボスも何勝手に了承してんだ。そんなトコだけホワイト企業じゃなくていいから。むしろ社員に休む暇は無えって感じのブラック企業で行くべきだろ、そこは。
「ダメ? 少し厄介な事件が起こる。それが終わるまで、織田作には出来るだけ外にいて欲しくないんだ」
「守られなければならないほど、俺は弱くない」
「知ってるよ。でも、ダメなんだ。お願いだから、大人しくしてて」
「太宰」
とんだワガママ坊主じゃねえか。
てか私だって色々考えてるから、何お前1人で未来決めつけようとしてんの。
織田作の未来は、誰かに決められる程安くない!
「お前は何をそんなに怯えている」
「……確かに怯えてるよ。私は織田作、君を喪うことが1番怖いんだ」
「太宰はいつも死のうとしているのにか」
「それはそれ」

うーむ、太宰を説得するって難しいな。
そもそも人並み外れた頭脳を持ってして考え抜かれた方法だ。並大抵の説得じゃ効かないだろう。
それに、私が勝手に行動しても、事態が好転すると言い切れない。
やばい、太宰の案が良さげに見えて来た。
イヤイヤ待て待て落ちつこう、織田作は閉じ込められてハイそうですかと頷く人物じゃ無いだろう。
そもそも私はどうなりたいのだ。
織田作を助けたい、うん、でその先は?
未来のヴィジョンが浮かばない。織田作が生きてるところが想像できない。

私は、織田作にどうあって欲しいのだろう。

イルカは半分だけ眠る7→←イルカは半分だけ眠る5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (176 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

翡翠 - 凄い文章力の羅列…裏山しいたけ(古い)何なんだ !あなたは !天才か! ?文豪じゃないのk(( はい。これからもどうか、頑張っていってください !更新を心待ちにしております!!! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
らい - 面白い........!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年8月9日 2時) (レス) id: 3b0d55ccc1 (このIDを非表示/違反報告)
チューリップ - 織田さんの成り代わりある様でないですよねぇ〜。更新待ってまーす (2019年4月4日 1時) (レス) id: 8fad14733d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2018年12月3日 15時) (レス) id: 81fb36e344 (このIDを非表示/違反報告)
世桜 - 凄く面白くて、一気読みしました!!細かな心情が描かれていて、続きが気になります。更新心待ちにしています。頑張って下さい! (2017年4月10日 0時) (レス) id: f27162b486 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まあじ | 作成日時:2016年6月12日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。