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シャチは探偵社を所望する4 ページ33

「見え透いた嘘に気付けないほど、僕が間抜けだと思われてるなら心外だな」

乱歩さんは見るからに拗ねていた。

「そういう訳ではない。ただ誰でも、知られたくない事を誤魔化すために嘘を吐く」

小説の安吾が織田作を(たばか)ろうとした時のように。
……もっとも、織田作はそんな事しなさそうだが。
私はそこまで考えて、苦笑した。
これでは私の負けじゃないか。織田作らしくない行為をしてしまった。
所詮、モノマネに過ぎないということか。どこまでやっても、私は本物の織田作になれやしない。

「僕は嘘吐きは嫌いだ」
「すまない」
「〜〜……!」

乱歩さんはむううぅ、と顔を膨らませた後、はああ、とため息をついた。
風船がプシュゥと萎んでいく様を彷彿とさせる。

「もういーよ。やーめた! 他人が嫌がる事するなって社長にも言われてるし!」

ふんっ、と怒った素振りを見せて乱歩さんは歩みを進める。私は後に続く。
そういえば、入社試験はどうなったのだろう。
今回の事件、私は何もしていない。
というか乱歩さんがいて、他人がやれる事なんて一つもない。
何を試験されたのだろうか。もしくは、今回の件は試験でもなんでもなく、本当にただの乱歩さんの付き添いだったか。

「織田作之助、成人男性、二十代後半〜三十代前半。両利き。時折腰辺りに触れるのはそこに拳銃があったから、前職は拳銃を日常的に使う職業……裏社会の人間だね。そういえば僕と幼い頃に会ったことがあるそうじゃないか。さては僕が社長と会った時、依頼人を僕の目の前で殺したのは君だな? つまり君は幼少から暗殺者として活動していた。が、何らかの事情で殺しはやめたのかい? トリガーを引く人差し指のタコがあまり目立たないね。この事から探偵社に入る以前から殺し屋としては活動しておらず、別のことで生計を立てていたと考えるのが一般的だけど、かといって表社会にもいなかった。腰のホルスターがあった場所を触る癖が抜けきってない」
「すごいな」
「当然だよ」

ふんす、と鼻息荒く乱歩さんは答えた。
もしかして、意趣返しのつもりだったのか?
私が見え透いた嘘を吐き、その理由を暴けなかったことに対しての。
普通の人であれば自分の経歴を一方的に暴かれるのは気分の良いものではないかもしれないが、私は乱歩さんの凄さを十分知っているので大したダメージはないんだけどな。

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翡翠 - 凄い文章力の羅列…裏山しいたけ(古い)何なんだ !あなたは !天才か! ?文豪じゃないのk(( はい。これからもどうか、頑張っていってください !更新を心待ちにしております!!! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
らい - 面白い........!これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年8月9日 2時) (レス) id: 3b0d55ccc1 (このIDを非表示/違反報告)
チューリップ - 織田さんの成り代わりある様でないですよねぇ〜。更新待ってまーす (2019年4月4日 1時) (レス) id: 8fad14733d (このIDを非表示/違反報告)
ひな - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2018年12月3日 15時) (レス) id: 81fb36e344 (このIDを非表示/違反報告)
世桜 - 凄く面白くて、一気読みしました!!細かな心情が描かれていて、続きが気になります。更新心待ちにしています。頑張って下さい! (2017年4月10日 0時) (レス) id: f27162b486 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まあじ | 作成日時:2016年6月12日 11時

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