怪物屋の半妖娘 (ページ10)

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2-1話ページ10

「夏羽がいない？」

寝起きのココアを飲んでいると何やら不穏な話が聞こえた。

織が隠神さんにモップを見せる。

確かに短い付き合いだが夏羽くんが途中で仕事を投げ出すような子ではない。

そんな事を考えていると3人が走り出した。嫌な予感がしたため後に続く。

隠神さんがドアを開ける。

(あの部屋は…)

一緒に中に入れば暗闇の中、夏羽くんとゲームをしている男。

夏羽くんに命令を飛ばしながら手だけを動かしている男に隠神さんが何度も彼の名前を呼ぶ。

「勝手に夏羽を使うなミハイ」

「こんな従順で素直など、子供を雇った事何故私に黙っていた」

(コイツ今…)

男が自己紹介を始めた。と思ったら急に夏羽くんを自分の給仕係に任命しはじめた。

それを素直に受け入れる夏羽くん。そんな夏羽くんに近づき腕を引く。

「？」

『行こう。別に給仕係なんて必要ないでしょ。今まで1人でできてたんだから』

「相変わらずつれないな」

「お前ら会ったことあるのか？」

私と男のやりとりに驚いた表情を見せる隠神さん。

『私も前、給仕係になれって言われたの』

「強く拒否されてしまってな。そこを無理強いするような私ではない」

『いや、結構しつこかったじゃないですか。給仕係のやり取り3回くらいしましたよね？』

隠神さんは私たちの会話を聞いて埒があかないと思ったのか、お前たちちょっと出なさい、とソファまで戻る。

ソファに腰掛けた隠神さんが下を向いて話し始めた。

話によるとあの人はヴァンパイアらしい。怪物の中でも高等種族。

彼の性格も良いとは言えなさそう。なんでそんな奴雇ったんだと思ったが、すぐに回答が返って来た。

「俺は機械が苦手なんだ」

(絶対今、織と同じ顔してるな…私)

役に立つヤツなんだが、と隠神さんが言う。

確かに仕事内容を聞けば助かっていると思うのだが。

「取り敢えず、あの部屋には近づかないように」