9-5話 ページ39
「夏羽殿、感謝する。そして貴方にも。よく俺を止めてくれた」
いえ私は、と返しておく。それからお兄さんや雪の里の話が始まった。
暫く話を聞いていれば夏羽くんが零結石と夏羽くんの両親についてをお兄さんに聞く。
「夏羽殿は怪物事変を知っているか？」
「怪物事変、知らない」
「事変って、戦争？」
チラリとあきちゃんを見れば難しい話、とか思ってそうで少し笑ってしまう。
軽く頭を撫でて大丈夫かと聞けば多分、と返ってきた。
怪物事変や結石の事はは私もある程度は聞いていた。
怪物が人間に紛れて暮らすようになった理由と怪物しか知らない歴史、結石の出来た理由。
「その結石を残したという事は、夏羽殿の父君、母君は高邁な怪物一族の長ではないか？」
「えっ、怪物の長」
「貰ったとか拾ったって可能性もあるもよ」
「それは、そうだが」
「だから確かめよう。怪物の結石は日本各地にある。夏羽の石がその内の１つである事は間違いない」
各土地には強い怪物がいて、夏羽くんの両親の手がかりがあるのではないかという事らしい。
結石はその怪物一族の大切なもの。今まではなかなか簡単には教えてもらえなかっただろうが今回の融合を交渉材料にして聞き出す算段らしい。
ある程度話を聞いたあきちゃんと織が両手を上げ、それに倣って夏羽くんも上げる。
「ほら、Aちゃんも！」
あきちゃんに声をかけられ両手を上げる。
『「「イェーイ！！！」」』
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作者名：魅館2 | 作成日時：2021年2月7日 14時
