オレンジピールの花嫁【浦島坂田船】

▽ ページ32

♤side


俺らのオヒメサマは良くも悪くも利他主義な子。

高貴な身分にも関わらず、他人を思いやれる優しい子。でも、自分の危険を顧みないで行動してしまう子。

逞しく育ててまったのは俺やけど…俺やけども…！

と、お嬢は先程まで襲われかけていた女の子とは思えないほどケロッとしていて、港の防波堤のブロックの上に乗って遊んでいた。


「怪我してへん？」

『うん。だってしまが隙作ってくれたから。ガラスの破片投げるとは思わなかったけど。』


“誰かを守りたい”願望の強いお嬢には自分で対処させるのが1番だと思った。怪我はさせないように、できるだけこちらから隙をつくって、もしもにいつでも対応できるように。

だからってガラスの破片は危なかったかもやけど。


『ふふっ、しまのおかげだねぇ。』


そうくすくす笑う彼女は、トンっと隣の石段に移り飛んだ。ガードルの裾がくるくる揺れて幼子のようだった。エメラルドグリーンの裾が潮風にまた揺られた。

センスはセンラやからなあ。……まあまあやろ。



センラに選択権が委託されていることに少しむくれてたなんて恥ずかしいから誰にも言ってやるもんか。

俺的にはもっと短くてもええんやけどなあ。



「旦那様が命じなければ、俺はこんな戦うすべなんて教えませんでしたけどね。」

『お父様、心配症だものね。』


ハイド家の当主、カルメ=ハイド公爵は威厳があるものの物腰が柔らかく、だからといって街に口出しをしないわけでもなく発展の為に的確にものが言える方だ。

絵に書いたような出来た公爵様。

ただ、唯一の問題点といえば、カルメ様の実の娘であるお嬢様、Aをかなり溺愛していること。蝶よ花よと育てられ、よくひん曲がった正確にならなかったなと思う。


『でも今回ばかりはお父様に感謝だわ。』

「……と言いますと？」

『だって、私がちょっとでも抵抗する術があれば、志麻やほかの3人が傷つくことが減るでしょ？それは嬉しいなあって！』


ほんまに、もう……。

蜜柑色の綺麗な瞳が三日月の形して、頬がほんのり赤づく。ほんまに綺麗になったなあ。



『私は4人と一緒にずっといるの。そのためだったらいやな勉強だって頑張るしちょっとつらい鍛錬だってやるよ。この街にいたいからこの街が平和になるために厄介事はなくす努力はするよ。』


いつの間にか強くなったお嬢様は、いつの間にか俺の前に立って、手を握って少し照れくさそうに笑った。



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11.My favorite remedy is …→←▽

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