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うらたはまるで事の一部始終を見ていたかのようにミルちゃんとベンサムのことを話し出す。あまりに饒舌で最初のほうは頭に入ってこなかった。


「ベンサムは自分を大切にしてくれるミルちゃんが何より大切なんだよ。だから幸せをあげたいから動いてんるだ。ミルちゃんが一番好きな花をあげるために。」



元々聡い猫ちゃんだとは思っていたけどそこまでとは…。主人が何よりも好きなんだなぁ。



自論を語りながら小道を歩く私たちは、少し開けてきた丘に差し込む光に目を細めた。



「でも、ベンサムにとって、主人に幸せを運ぶ行為こそが善。だから周りを見ずに走り出したんだ、きっと。」

『…うらたはその気持ちわかるの?』

「は?」

『自分の大切なもの、とか人とか、他人の迷惑とか考えずに幸せにしてあげたいって思う?』


少しひどい言い方だったかもしれない。

ただ、ベンサムについて話しているだけのはずなのにまるで自分のことのように話すからちょっと疑問に思っただけ。

でも、私の問いにうらたは私の目を見ながら、にやりと口角をあげて笑った。



「それやると俺の大切な人は泣くんでしませんよ。」



そう頭を撫でてくる。優しい手。

私でもわかったよ。今はうらたのたいせつが私に向いてるって。

それがなによりも、無条件で嬉しかった。



『ミルちゃんの好きな花ってなんだろう。』

「…そもそもこの仮説が合ってるかもわかんねぇけどなぁ。」

『それはきっと大丈夫よ。』



だってうらたが考えた結果だもん。


そう続けるのはちょっぴり悔しかったから言ってやんない。





.





私たちが丘の金木犀の道を抜けた先の花畑に着いた時には、ミルちゃんが先にベンサムを見つけており、綺麗好きなベンサムが泥で体を汚しながらもミルちゃんをあるお花の前まで連れていった。


そこにたどり着いた瞬間、大人びた少女(ミルちゃん)はぼろぼろと涙を落とし、泥が移ることもお構い無しにベンサムを抱きしめ続けた。



そんな様子を見て私とうらたは顔を見合わせて微笑んだ。すごく優しい光景。




私たちにお礼を言うミルちゃんの笑顔は可憐で愛くるしいぐらい素敵だった。









カルミア



__大きな希望、爽やかな笑顔__

10.Don't treat me like a child !→←▽



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さくらいろ(プロフ) - over the rainさん» 応援ありがとうございました!長い間何も更新しておらずすみません…これからはちゃんと更新を続けていくつもりですのでまた見ていただけると幸いです! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - くらっかーさん» 応援ありがとうございました!ようやく受験が終わったのでこちらの活動の方も再開させていただきます! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - 舞花さん» 舞香さん、アカウント変えて気づかないかもしれませんが、リクエストの方了解致しました!私も後々やまだぬきちゃんは出演させる予定だったので参考にさせてもらいますね!ありがとうございます(*´˘`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - 受験お互い頑張りましょう!また会いに来ます! (2020年1月1日 23時) (レス) id: 957c180cee (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 受験勉強大変ですよね!首を長くしてお待ちしてます! (2020年1月1日 9時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくらいろ | 作成日時:2019年11月4日 0時

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