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◇side
お嬢の存在は俺らにとって誰にも触らせたくないくらい大切な宝石なんだと思う。マンダリンガーネット、みたいでとても綺麗。
Aはただ笑って存在してくれるだけで十分なのに、人の役に立とうと無理をする。
それが俺は一番怖い。
「ずっと、俺…だけじゃなくてもいいです。俺を含めた4人のそばにいてください。何からでも守るから。」
『それで、傷つくのはみんななんだよ…?』
泣きそうな顔。蜜柑色の瞳がどんどん湿っていく。長いまつ毛がそれに濡れて室内灯に反射してキラキラと光る。
あぁ、この人は、本当に全部無意識でずるい人だ。
『私は守りたい。今まで私なんかに人生かけてくれてる4人を守りたい。離したくないの。』
初めて聞いた本音に少し驚いて目を見開く。
“なんか”って自分を卑下するのは悪い癖だが、いつの間にかそんな覚悟を持って生きているなんて、思っていなかった。
「お嬢様がそのように思ってくださるだけで執事冥利に尽きますよ。」
『…センラは褒めるのが上手ね。』
「あ、照れてます?」
『調子乗らない。』
枕を思いっきりぶん投げて、不貞腐れたように頬をふくらませる姿を見ればまだまだ子どもなんだと安心する。
『…ありがとう。ちょっとすっきりしたわ。』
ベッドから立ち上がりながら、笑顔で言う姿にえにも言われない幸福感で満ちる。思わず伸びた手で優しくその柔らかい髪を撫でると、気持ちいいのかすり寄ってくる。猫みたい。
『みんな、撫でるの好きなのね。』
「えっ、3人とも撫でるん?」
『割とよく。』
「えー、特権かと思ったんにー。」
そう口をとんがらせて言う。すこし面食らってしまったのは恥ずかしいから隠しておこう。アイツら、普通にやりおるな…。
『んーセンラだけしかやらないこと…?』
「…あ、おやすみのちゅ………ぐふっ。」
投げられた本日2度目の枕が鼻を直撃した。鼻曲がるかと思った。あの細い腕からどう頑張ったらそんな豪速球投げれるん?志麻くんか、志麻くんのせいか…!
と、文句を垂れ、鼻を抑えつつ白い枕を拾い上げる。すると、対象に真っ赤な顔のお嬢様がいて予想外で固まってしまった。
『そんなこと普通に言わないの!』
「へー…ほうほう、お嬢様はやっぱりこの手の話題は苦手、と…。」
『そんなこと覚えなくていいの!もう!お風呂行くよ!!』
はいはい、と軽く返事しながら小さな背中を追っていった。
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さくらいろ(プロフ) - over the rainさん» 応援ありがとうございました!長い間何も更新しておらずすみません…これからはちゃんと更新を続けていくつもりですのでまた見ていただけると幸いです! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - くらっかーさん» 応援ありがとうございました!ようやく受験が終わったのでこちらの活動の方も再開させていただきます! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - 舞花さん» 舞香さん、アカウント変えて気づかないかもしれませんが、リクエストの方了解致しました!私も後々やまだぬきちゃんは出演させる予定だったので参考にさせてもらいますね!ありがとうございます(*´˘`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - 受験お互い頑張りましょう!また会いに来ます! (2020年1月1日 23時) (レス) id: 957c180cee (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 受験勉強大変ですよね!首を長くしてお待ちしてます! (2020年1月1日 9時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらいろ | 作成日時:2019年11月4日 0時