黄色い光 4

178.団子屋の村娘 ページ33

「お姉さん！お団子２つね〜」

「はーい！」



潜入調査を開始して二年近く経とうとしていた
この集落に来て三度目の冬を迎える季節にまで月日は流れた
私は村人や旅人、はたまた忍達も愛用する人気の団子屋の仕事をしつつ村に溶け込んだ
名前はーー



「ツバキちゃん今日も可愛いねぇオレの嫁さんにならねぇ？」

「えっ…と、」

「ダメダメ！ツバキちゃんには好きな人居るもんなー？」

「はいっ！」

「カーッ！その笑顔もまた可愛いなーっ」



ツバキーー
咄嗟に出てしまった名前が母の名前であったことに正直驚いたが、言ってしまった以上は通すしかない
皮肉な事にナツキさんの言うとおりペコペコしていたら直ぐに村人たちとは仲良くなった
今では団子屋の人気者だ
私が来てから売り上げが上がったと店主は喜んでくれたけど、私の目的は売り上げじゃないんだけどな



「お母さんの身体の様子はどうだ？良くなったのか？」

「少しずつですけど、何とか…薬も効いてるようで」

「そりゃあ良かった！オレたちも沢山団子食ってツバキちゃんの懐暖めてやんよ〜へへっ」

「そう言って小遣いぜーんぶ無くしちまったじゃねぇか」

「うるせー！」



母は病に倒れ、今は岩隠れの里の近くの病院で入院中
私はそんな母の為に出稼ぎしに来ている
って設定で通してる
休みの日は母の見舞いに行くと言う口実で里に行き内部調査
仕事中はたまに小言で岩隠れの不穏な動きについて話し合う連中に聞き耳をたてたりもした



「お姉さぁん！僕にもお団子くださいな！ぁ、お姉さんのオススメがいいなー」

「ふふっ、はーい！直ぐにお持ちしますね」

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