黄色い光 4

159.その日、太陽は笑っていた ページ14

「…忍の癖に掟を破るとはな」
「全くあの白い牙が聞いて呆れるよ」
「ーーカカシくん！何か食べに行こうか！お団子辺りオススメかな？美味しいところ知ってるから急ぐべ」


きっとこの話は暫くは収まらないだろう
いつかは飽きて忘れ去られる話かも知れない
でもカカシくんにとっては一生忘れられない記憶になる
葬儀が終わったばかりなのに未だに影でコソコソと話すコイツらは暇人なのか？
気持ち悪い…
カカシくんの耳に入らないようにわざと大声を出して足を速めた


「ーー掟を破るヤツなんか忍としてクズとかわんねぇよ」


急いでいた足は意思とは反対に止まった
気にするだけ無駄だと理解はしているのにーー
その言葉だけは無視出来なかったんだ


「寄って集って…一人の逸材を殺すのが大人のやり方なのか！？」
「なんだ…お前ッ！！？」
「事実を言ったまでだ！いくらあの白い牙とはいえ掟を破るヤツは忍以前の問題なんだよッ！！」
「ーーテ、メッ！」
「Aさん止めてくださいッ！！もう…良い、ですから」
「カカシ…くん、」


綺麗事ばかり並べるコイツの胸ぐらを掴み、殴ろうと右手を上げれば
必死に私を止めるカカシくんを見てゆっくりと力が抜け落ちた
何が忍だ…っ
コイツらが束になったってあの人の足下にも及ばないのに…
どれだけ木ノ葉にとっての損失になるのか、コイツらには分かっていない


「…Aさん、行きましょう」


一番傷付いてるハズなのに…
この子は本当に強い
手を引かれそのままカカシくんに付き添った
その手は本当に小さくてーー
そうだよ…彼はまだ五歳なんだ


「…カカシくん…ごめんね、」
「……別にAさんが謝ることじゃ…ないですっ」


今のカカシくんは強がってるようにしか見えなくて
後ろからカカシくんを抱き締めた
涙を流したくても必死に堪えてるのか、小刻みに震えるカカシくんに私の方が泣きそうになった
以前クシナの両親の葬儀で、にゃん太は別れが悲しいから人は泣く
そう言った
あの時はよく分からなかったけど、今なら分かる
残された者が寂しさを紛らわす為の行為だって
別れを受け入れさせる為なんだって…


「……ダメ、ですね…忍になるのにこんな事で泣いちゃ」
「…だったら私は忍失格だねっ」
「！…そう、ですね…でもこの雨じゃ、分からないですよっ」


静かに二人で泣いた
唇を噛み締め
この日を二人の秘密にしてーー

その日は憎たらしいほど青空が広がっていてたけど
私達の視界はボヤけて見えていた

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