階級・甲の癸さん拾伍

687話 ページ43

『さっきさ、此処でやめるなら僕はあなたを殺さないって言ったよ？

ちゃんと忠告したのに、何であなたはやめなかった？

それで僕達を…僕の大切な人を殺そうとした…そのくせに自分は命乞い？

…随分お気楽で巫山戯た脳内してんね、あなた。』



その場に崩れ落ちるように座り込む埜田の近くまで行き、見下ろす。



『殺される覚悟で人を殺そうとしろよ、そんなことも出来ずに殺そうとしたわけ？

僕は死ぬ覚悟で此処に来た、あなたに殺されるかもしれないと思いながら此処に来た。

あなたのような生半可な覚悟をしたわけじゃない…一緒にするな。』



雪希「っ…どうすれば許してくれるのっ…土下座でもすれば良い！？」



『お前の安い土下座なんて必要ない。』



…誰一人被害者が居なければよかった。



でもあなたは…この場の全員を被害者にしようとした。



『…一度死んでから償えば良いんじゃない？

まあ…あなたのような奴は、一度死んだくらいじゃ償わないの、知ってるけどね。』



一度死んで償うのなら、きっと今頃既に…



雪希「っ…やめて、許して…」



『遅かったね、降伏するのが。もう少し早ければ…違ったかもしれないのに。』



そう言いながら刀を構える。



『全集中、雨の呼吸…』



雪希「…、」



覚悟をしたように目を瞑る。



『…玖ノ型・黒風白雨。』



攻撃を放った時、何故か埜田が…少しだけ微笑んだ。



…もしかしたら、あなたは…

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