前世の話。伍 ページ9
入学式の日、突然声を掛けてきたのは10歳の時に離れ離れになって以来会ったことのなかった妹だった。
僕を見つけた妹は大いに喜び、僕に抱き着き、「ずっと会いたかった」と言った。
その時僕は何年ぶりかに「嬉しい」と感じた。
それからは妹と共に行動をするようになり、部活も同じものに入った。
養子に取られたことから双子ということは中々知られず、それが理由で三年生までずっと同じクラスだったから。
妹の引き取られた家も良い所だったらしく、其処での家族等とも上手く行っていると言っていた。
やっとのことで妹は幸せになった…そう思うと、僕まで「幸せ」な気持ちになれたんだ。
だが、高校三年生になったある日。
妹は死んだ。
好きになった相手の男が糞野郎で、妹に気のあるフリをして誘き出し…その場所で、友人達なのかは知らないが…多くの男達に妹を襲わせた。
無理矢理襲われた妹は心に傷を負い、暫くずっと家に引き籠もっていて…そして、ある日自らの首を包丁で切り裂き命を落とした。
まるで義母を思わせるような死に方。
僕はその時、初めて「怒り」を覚えた。
妹は僕の生き甲斐だった。
妹が幸せになるならそれで良かった。
許せなくて許せなくて許せなくて…
気が付けば僕は、妹の想って居た相手の元に行き、脅し、男達を連れて来させ…全員を殺していた。
包丁で刺し、紐で首を絞め、妹が苦しんだよりも、それよりもずっと強く、苦しい痛みを味わわせてやる…そう思いながら、全員殺した。
全員殺してから気が付いた。
僕は全員の急所を、包丁で刺していた。
まるで何処が急所か知っているかのように。
だがそれもどうでも良く、妹の居ない世界には興味がなかった。
…結局僕は、妹が幸せになることで、自分の生を全うしようとしていた…自分のためでしかなかった。
それに気付いた時…僕は自分の首に包丁を当てていて。
そして、そのまま…切り裂いていた。
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そーな(プロフ) - すごく面白いです!続編楽しみにしてます(`・ω・´)ノ (2019年10月29日 11時) (レス) id: fda0224a1f (このIDを非表示/違反報告)
夕希(プロフ) - 私の好きな、薄桜鬼と鬼滅の刃がコラボしているとか、嬉しすぎます!ありがとうございます! (2019年10月25日 17時) (レス) id: 9681d7962f (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 薄桜鬼!懐かしい……更新頑張ってください! (2019年10月25日 14時) (レス) id: 1f4124da1c (このIDを非表示/違反報告)
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