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前世の話。肆 ページ8

行く場所の無かった僕達は、お互い別々の場所に養子として取られることになった。



妹は嫌だと拒否したし、僕も妹と一緒が良いと言ったが、やはりそんなのを聞いてはくれなかった。



大人なんてそんな生き物なのだ。



僕が引き取られたのはそこそこ良い家だった。



最初こそ仲良くしようと声を掛けてくれては居たが、感情が欠如している僕を見ている内に段々放置するようになった。



料理を出してくれたり、学校に行けるようにしてくれたのには今でも感謝している。



まあ学校に行った所で友達は出来なかったし、誰かに興味を持つこともまずなかったのだが。



唯一勉強だけは出来るようになり、学年一位なども少なくない話だった。



引き取り手の養父母さん達は、僕のその成績を大いに喜んだ。



引き取ってくれたのだから、そのくらいの恩返しはしたかったし…喜んでくれたのは純粋にほっとした。



だが、僕はいつまで経ってもほっとする、などの感情は持てなかった。



周りの子達のいう、



「次の授業ほんとに嫌だ」



「面倒臭すぎるんだけど、死にたい」



「成績落ちた〜ほんとうざ」



これらの気持ちもよく分からなかった。



人は簡単に死にたくなるんだな、なんて滑稽な生き物だろう。



そんな感情しか持てなかった。



僕にとってあった感情は、人間に対しての滑稽だという気持ち、哀れまれるのが不快だという気持ち…それだけのことで。



後の感情は、特に生まれることなんてなかった。



「嬉しい」「悲しい」「苦しい」「辛い」「楽しい」「幸せ」



多分全て幼い頃に捨てた。



それを持っていることで、妹を守るのに邪魔になるから。



僕の人生はずっと、妹のためにあったのだろう。



妹と離れてまで生きる意味があるのか…それもずっと、何も、分からなかった。



高校に入ってからもそのままになる…きっと、僕は周りの子達みたいに「恋愛」とかもしないし、何かを強く感じたりもしないだろう…そう思っていた。



高校に入学したことで、妹に再会するまでは。

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そーな(プロフ) - すごく面白いです!続編楽しみにしてます(`・ω・´)ノ (2019年10月29日 11時) (レス) id: fda0224a1f (このIDを非表示/違反報告)
夕希(プロフ) - 私の好きな、薄桜鬼と鬼滅の刃がコラボしているとか、嬉しすぎます!ありがとうございます! (2019年10月25日 17時) (レス) id: 9681d7962f (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 薄桜鬼!懐かしい……更新頑張ってください! (2019年10月25日 14時) (レス) id: 1f4124da1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:心月美玲 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年10月25日 11時

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