階級・甲の癸さん弐

62話　伊黒side ページ16

伊黒「何を言っている？」



思わずそう聞いてしまう。



だが奴は俺達の方を見ることもなく、刀を抜き始める。



…不死川の時見たが…見たことのない色の変わり方をした刀だな。



『雨の呼吸、弐ノ型・秋雨。』



何か居るのかと思えば…何も居ない所へ向かい、型を放つ。



宇髄「おい…何してんだ？」



『…ちょっと静かにしてくれると嬉しいです。』



そう言う奴の目は、さっきまでと違い怯えてはいない…その目は真っ直ぐ、獲物を捕らえようとしている。



『…此方です。』



そう言いながら歩き進む。



伊黒「何を言っている、余計なことをして足手纏いになるようならば…」



『僕は雨の中でだけ五感が鋭くなります。

多分その鋭さは人並み以上…よりも高いかもしれませんね。』



…雨の中でだけ…五感が鋭くなる…？



宇髄「そんなの聞いたことねぇぞ。」



『僕も驚きましたよ、最初は…雨の呼吸自体編み出した時驚いて…それだけでなく、水の中ではなく雨の中でだけ力が発揮される…。』



静かに目を瞑りながら歩いているというのに、しっかりと前を進めている。



『…特異体質なんでしょうね。』



少し悲しげに答える奴は、一体何を考えているのか。



『…近付いてきました…多分この近くに鬼が居ます。』



宇髄「本当だとしたら…派手に凄えな。」



『…派手じゃなくても良いんですけどねぇ…。』



…今回の合同任務の主な狙いは…奴のお手並み拝見。



さて…どう出るのかね。

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