36話☆ ページ38
『やはり。』
駆け寄り受け取ると、天馬さんは安堵したように息をついた。
『見たことのない荷物だったので少し戸惑いましたが、少々中身を点検させていただきました。
中には恐らくこの時代の物ではない貴重品等があったので何も取り出してはいません…。
見たことのない格好をしていたあなたのものである可能性が高いかと思いまして。
小太刀などは特に入っていないようでしたので、そのまま渡しますね。』
「ありがとうございます!!」
そう言って私は…“あれ”を取り出した。
藤堂「?何それ?」
「うぉ…時計、です。」
沖田「時計?」
「私の居た時代のもので…時刻を確認することの出来るものです。」
近藤「ほう…君の居た時代とは便利な物が出来ているんだな。」
「そうですね…!」
…でもこの時計はそれだけじゃない。
それを言う必要はないから、その時計…腕時計をはめ、空けられていた席に座る。
土方「じゃあ、」
「天馬さん!」
食べよう、って言おうとしたであろう土方さんの言葉を止め、天馬さんに声をかける。
そうすれば、隅っこに行こうとしていた天馬さんは私の方を見る。
…私はこの人の冷めた目を、一度しか見たことがない。
この人はいつでも…優しく私を見てくれる。
『…何ですか?』
断られる可能性が高いのはよく知っている。
それでも私は頼みたい…頼んでみたい。
「…こっちで一緒に、食べませんか?」
一同―天馬「!?!?!?」
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ