取り敢えず一回鬼に喰われてくれ。

十七話　響side ページ19

「…！？」



宇髄「………はあ！？」



いつの間にか鬼の近くに行っていたらしい先輩は…鬼の両腕を斬っていた。



…またあれだ、無感情なことが理由で、とてつもない速さに感じる。



俺達が気付かないだけで、いつの間にか動いていただけの話なんだけどね。



でも何故か先輩はそのまま鬼の頸を斬らず…両脚を斬る。



そしてそのまま、倒れた胴体に馬乗りする。



先輩は馬乗りにしながら、頸に刀を突き付ける。



…無色だったはずの刀は…何故か赤く染まっている。



「クソガキっ…いつの間にっ…」



『気付いてなかっただけじゃないかな？

さてさて、貴方に一つだけ質問をするねー、ちゃんと答えてよ。』



先輩は笑顔でそう言うと、奴に聞いた。



『あの人達に、何か言うことはある？』



そう言ってほんの少し向けた目の先には、奴に殺された人達の死体がある。



「…死体に何か言って何の意味が有る、俺の力になれたことを光栄に思えばいい。」



『それ本気？他に言うことはないのー？』



「有るわけねぇだろ！！人間なんかに…！！」



その言葉を聞いた宇髄さんの額に青筋が立つのが見える。



俺も同じ感じだ、あのクズ野郎は許せない。



『あなたに何があったかとかは知らないけど、だから何か言うつもりはないけど。

それにあの人達の苦しさとかも分かんないからあまり文句言うべきではないかな。』



「てめぇ何を」



『でもやって来たことは許されないし万死に値するよねっ！』



そう言ってにこっ、と心底楽しそうに…愉快そうに笑った先輩は、言った。



『だから死ねよ。弐ノ型・蔑み。』

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