取り敢えず一回鬼に喰われてくれ。

十一話　響side ページ13

響「…出た、」



目を瞑っていた先輩は、宇髄さんの背後に回ると目を開ける。



その目には光が通っていなくて…



煉獄「よもや、あれはどうやっているんだったか。」



そう言えば、煉獄さんには一度説明したかどうかだったか…。



響「先輩の使う“無の呼吸”は、感情を“無”にすることで使うことが出来ます。

まあそれが出来る先輩だから、感情のある状態でもそれ用の型が使えるんですけど…。」



宇髄「感情を“無”にする？」



まだ油断をしているのか、宇髄さんが俺の方を見ながら聞いてくる。



響「はい、壱ノ型と弐ノ型しか俺はまだ知らないんですけど、その二つの型は無感情の状態で使うのが必須条件です。

…敵にすると厄介であり、味方であると何より心強いと言っても過言ではないと思います。

何せ怒りという感情や悲しみと言う他の感情を持ち合わせない状態で使っているので、動きが単調になることもない…それ故次の動きを読むことが出来ませんから。」



その分、他の人より早い動きではないにしても誰より早く動いているようにさえ感じる。



煉獄「なるほど、だから見たこともない“我流”の呼吸になるわけだ！」



響「そうですね。」



…ん？先輩のあの構え…



『我流、無の呼吸…壱ノ型…』



…おいおい待て待て…



響「先輩！！止まれ！！」



そう言うと、今にも型を繰り出そうとしていた先輩はその場で一瞬動きを止める。



宇髄(いつの間に…！)



そして、宇髄さんのかなり近くまで行っていた先輩は…



ガッ



宇髄さんの刀の持つ所で、背中を思い切り殴られた。

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