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ちょうどその頃だ。
「Aなんか聞いてないの?」
「なにが?」
「作間くん、華乃ちゃんに告白されたんでしょ?」
作ちゃんが告白されたと噂が流れたのは。
「え……?」
何も考えられなくて、しばらくは言葉の意味が理解できなかった。
告白された…作ちゃんが…?
別に作ちゃんが告白されたことなんて初めてじゃない。
高校の時だってみんなあのルックスに騙されたのか人気があって、同級生だけじゃなくて先輩や後輩からも告白されていた。
だから別に今更なんともないこと。
それなのに、今はどうしようもなく心がざわついて落ち着かない。
「何も聞いてないの?」
「あー、うん。最近会ってないし、もともと用事ないとLINEとかもしないから」
「そうなんだ」
「いやー、たしかに気があるとは思ってたけど告白するとは思わなかった」なんて言いながら、由真はパスタサラダを口に運ぶ。
「だってAがいるんだよ?それ知ってて告白できる勇気が凄いわ(笑)」
「いや、別に私は…」
「そんなことないでしょ(笑)あんなに一緒にいたんだから」
たしかに私達はよく一緒にいたけど、それは高校からの友達だからで。たまたま家も近かったからで。
……ただの友達。
それ以上でもそれ以下でもない。
「Aは知らないだろうけど、アンタが酔い潰れた時なんてすぐに“俺が送るから大丈夫”って言うからね?他の子が送るって言ってるのにだよ?」
「そう…なんだ」
「最近じゃそれが当たり前になりすぎてすぐにお任せだったけどね(笑)」
「友達以上の女がいるって知ってて、告白できる勇気が凄い。あんな可愛い顔して心臓に毛でも生えてるんじゃない?」って若干失礼なことを言う。
昼休みだからって、他の人もいる教室でこんな言葉を言える由真だって心臓に毛が生えてるんだろう。
「どうするんだろうね、作間くん」
「さあ?」なんて答えてから苺が入ったフルーツサンドを齧った。
なんとかひとつは食べ終えたけど、もうひとつはどうにも食べられそうもない。
残すのはもったいなかったけど、手をつけないまま片付けを始める。
「なに?食べないの?」
「あっ、うん。…ダイエットしようかなーって(笑)」
「フルーツサンド買っといてよく言うわ(笑)」
ケラケラ笑った由真は「じゃあ私はデブ活しようかな!」って私からフルーツサンドを取り上げると、代わりにパクっと食べてくれた。
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の - 凄く感動しました。作ちゃんがもう作ちゃんで場面が想像できました。瑞稀くんが結婚するって言った時は泣いてしまいました。片想いって本当にしんどいです。作ちゃん最後は報われてよかったです。久しぶりにこんな胸が痛くなりました。 (2021年8月31日 23時) (レス) id: 2c22fbd9c9 (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - これの作間くんがあったら是非読みたいです!!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 今更感想すみません。最後めちゃめちゃ泣いたし井上担なのにすごく幸せな気持ちになりました……読んでよかったです!! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 533c7622c3 (このIDを非表示/違反報告)
じ ゅ き * - 呼んでて涙出てきちゃいました!! これからも作品楽しみにしてますっ (2019年10月24日 19時) (レス) id: 3ad5a89366 (このIDを非表示/違反報告)
ニャニャコ - めちゃくちゃ良かった! (2019年8月24日 15時) (レス) id: 6881cb58fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りゅりゅ | 作者ホームページ:https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時:2018年11月19日 11時