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*87【戦闘、無力な人間】 ページ43

あかり、舞、樹が木の陰で見守るなか、死神たちは巨大な髑髏の死神に攻撃を食らわせていく。



「うおおおお!」



瑛斗が鎌を振り下ろし髑髏の死神の腹を裂く。



「はあっ!」



松が目玉を突く。



「おらあああ!」



死神が紫色の光球をぶつける。
それぞれが攻撃を放つごとに強風が吹き荒れ、地面が揺れた。
髑髏の死神が言葉にならない叫びをあげる。そして鎌を一振りした。



「ぐわぁっ!」



たったそれだけで三人は吹き飛ばされ、冷たい地面に打ち付けられてしまった。
立ち上がり、再び攻撃を繰り出すために跳躍しようとする死神と瑛斗。



「二人とも待って!」



その後ろ姿に松が声をかけた。



「出鱈目に攻撃するだけじゃアイツは倒せない。三人で同じ場所を一斉に攻撃するわよ!」



三人は顔を見合わせ頷くと、同時に跳躍する。
すると死神が何かに気付き、ハッとして声をあげた。



「奴の弱点は腹だ、鎌で守ってやがる!」



「ハッ、お前に言われなくても分かってるっての!」



一番に瑛斗が鎌を振り下ろす。
髑髏の死神が持つ巨大な鎌を弾こうと試みるが、およそ十分の一ほどの大きさしかない瑛斗の鎌にはビクともしない。



「瑛斗ちゃん退いて!」



松が巨大な光球を鎌に打ち込む。
その瞬間、少しだけ髑髏の死神が怯んだのを死神は見逃さなかった。



「二人とも退け!」



僅かにできた隙間に、死神は自分の体より何倍も大きな光球を打ち込む。



「これで、終わりだ!!」



死神の叫びと共に光球が敵の腹に吸い込まれていく。
コンマ数秒遅れて、光球が凄まじい光を放ちながら爆ぜた。
髑髏の死神は大きな叫び声をあげながらゆっくりと態勢を崩していく。



「殺ったか!?」



瑛斗の明るい声とは真逆に、死神は真剣な顔を一層歪ませた。



「…いや、まだだ」



***



あかりは戦闘の一部始終を瞬きせずに見守っていた。
その両手は胸の前でしっかり握られている。まるで神様にでも祈るように。



態勢を崩した髑髏の死神はその場で蹲っている。
まだ油断できない、とどめを刺そうと三人が跳躍し、敵の間合いに入った瞬間。
髑髏の死神から黒いオーラが噴き出し、死神、瑛斗、松は強風と共に固い地面に叩きつけられた。



「皆ッ!」



あかりの喉から震えた声が漏れるも、それは何の意味も持たず搔き消される。
助けようにも、なんの力も持たない人間である自分はただ見守る事しか出来ない。
それは舞と樹も同じだった。

*88【あの日の恩返し】→←*86【戦う意志】



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設定タグ:死神 , バトル , 友情   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ぺぽん(プロフ) - あくるさん» あくるさん、ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!気長に待っていてくださると幸いです。 (10月18日 10時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
あくる(プロフ) - コメント失礼します。すごくこの作品好きです!また更新が再開するのを楽しみにしています! (10月17日 22時) (レス) @page40 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 瀬戸 こすずさん» コメントありがとうございます!更新停止となりましたが、応援していると言っていただけて本当に嬉しいです。こうしてコメントをいただけると読んでくださっているんだな、と実感できて頑張ることができます。ありがとうございます! (7月15日 19時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸 こすず - 最近改名しました!一ノ瀬こももです。更新停止は寂しいですが、私はずっと応援します!頑張ってください! (7月15日 17時) (レス) @page34 id: 8b7f4b66dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 一ノ瀬 こももさん» 作品を読んでくださりありがとうございます。面白いと言ってくれることが本当に嬉しいですし、作品を書き続ける活力になります…!もっと読みやすく、綺麗な表現が出来るように頑張りますので、これからも応援よろしくお願い致します🙇 (6月18日 18時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年8月14日 11時

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