【オリジナル】死神は私を殺せないそうです２

＊84【仲間の助け】 ページ40

低い声とともに死神がモルテに接近する。
釜が振られる直前、モルテは後方に飛び退いて攻撃を避けると、クソッ！と苛立ちながら叫んだ。



「なぜ私の催眠が解けたのだ！私の力は誰よりも強いはず…！」



「もしかして、分からないの？」



死神が再び走ってモルテに近づく。



「お前が負けた理由。それは、一人だからだ」



「なにっ？」



ガキン！と鎌同士がぶつかり合う。



「私はまだ負けていない！」



「ははっ、負けるさ」



モルテの鬼気迫る表情に、死神は余裕の笑みを浮かべて唇を動かす。



「必ず俺達が勝ってみせる」



「俺たちだと？はっ、一体誰がいるというのか…」



その瞬間、白く大きな扉が激しい音をたてて開いた。



「死神ぃ！助けに来てやったぜ！」



白い部屋に響き渡る元気な声。
そこに立っていたのは、瑛斗、樹、舞、松の姿だった。
これにはあかりも目を丸くして驚く。



「皆、無事だったんだ…！」



瞳に薄く涙を浮かべながらあかりが言う。
瑛斗達はそんなあかりを見て笑い飛ばした。



「当たり前だ！こんなとこで死んでられっかっての！」



「そうそう、仲間のピンチなのにうだうだしてらんないよね！」



「俺たちが死ぬわけ無いだろ？」



瑛斗、舞、樹が口々に話すなか、松は三人にジト目を向けて言った。



「よく言うわね。死にかけてたアンタ達を救ったのはアタシだっていうのに」



「おい！それは言わない約束だって言っただろ！」



「あら？瑛斗ちゃんとの約束なんて覚えてないわね」



「て、てめぇぇ！」



「まあまあ二人共」



睨み合っている二人を舞がなだめる。
その瞬間。



ピシッ、空間にヒビが入る音がした。
全員が息を呑み、モルテを警戒する。



「貴様ら…これは、」



攻撃が来る、そう思い身構えた時だった。



「うっ！」



「ぐあっ…！」



モルテの目の前に、カルラとメイが現れたのだ。
しかしその姿は、手足が縛られ、床に跪いている。



「…これは、何の冗談だ？」



モルテの血のように真っ赤な瞳が今、二人に断罪を下す。

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