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*75【行って】 ページ31

あかりは意を決してベッドの下から出た。
考えは舞と樹も同じだったようで、二人も姿を現す。




「あっははは!本当に出てきちゃった!面白すぎるー!」




メイはツインテールにしたピンク色の髪を揺らしながらお腹を抱えて笑い出す。
対する自分たちは少しも笑えない、笑えるわけがない。
彼女の右手には大きな鎌が握られているため、いつ命を刈り取られてもおかしくないのだから。




すると、あかりに気づいたメイが目を見開いた。




「あれ、アンタ例の死神のターゲットだよね!?まだ死んでなかったの?」




かわいそー、と平坦な声で言う彼女の口元には笑みが浮かべられている。
少女は楽しそうに言った。




「メイが殺してあげるよ」




メイが鎌を振り上げる。
死ぬ、そう思い目を閉じた瞬間だった。




「駄目ッ!!」




感じたのは痛みではなく、ドンッと何かが倒れる音。
恐る恐る目を開けると、メイが舞によって動きを封じられていた。




「ちょっと!何すんのよ人間!」




メイはジタバタと暴れるが、単純な力は舞の方があるらしく少女は動けない。




「二人とも行って!」




舞が力強く叫んだ。




「死神はボスの部屋に居るんでしょ!今がチャンスだから!」




「でも舞が!」




「いいから!!」




力強く叫ぶ声とその瞳に見つめられ、あかりはギュッと拳を握る。
そして覚悟を決めた。




「樹、行くよ!」




「…あぁ!」




二人は部屋から飛び出し、白く長い廊下を一目散に走る。




(舞ちゃんが彼女の動きを封じているうちに、ボスの部屋まで行かないと…!)




「そこまでだ、人間」




「ッ!」




目の前に突然現れた黒い人影に、あかりと樹は足を止める。
深く被っているフードから緑色の目が鋭く光った。




「誰だお前!」




樹はあかりを守るように立ち、叫んだ。
すると、その死神は黒いフードをゆっくり外す。




「…!貴方は…」




その姿には見覚えがあった。
緑色の髪と瞳、メイと行動を共にしていた、死神。




「カルラ…!」




「はぁ…人間に名前を覚えられるなんて最悪以外の何物でもないんだけど」




首を傾げてこちらを睨むカルラ。
放たれる殺気にゾクリと肌が泡立つ。




「ボスの部屋には行かせない。今ここで、お前らを殺す」




瞬間、カルラが鎌を振り上げた。

*76【運命は託される】→←*74【侵入者】



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設定タグ:死神 , バトル , 友情   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ぺぽん(プロフ) - あくるさん» あくるさん、ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!気長に待っていてくださると幸いです。 (10月18日 10時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
あくる(プロフ) - コメント失礼します。すごくこの作品好きです!また更新が再開するのを楽しみにしています! (10月17日 22時) (レス) @page40 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 瀬戸 こすずさん» コメントありがとうございます!更新停止となりましたが、応援していると言っていただけて本当に嬉しいです。こうしてコメントをいただけると読んでくださっているんだな、と実感できて頑張ることができます。ありがとうございます! (7月15日 19時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸 こすず - 最近改名しました!一ノ瀬こももです。更新停止は寂しいですが、私はずっと応援します!頑張ってください! (7月15日 17時) (レス) @page34 id: 8b7f4b66dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 一ノ瀬 こももさん» 作品を読んでくださりありがとうございます。面白いと言ってくれることが本当に嬉しいですし、作品を書き続ける活力になります…!もっと読みやすく、綺麗な表現が出来るように頑張りますので、これからも応援よろしくお願い致します🙇 (6月18日 18時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年8月14日 11時

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