検索窓
今日:11 hit、昨日:11 hit、合計:7,279 hit

*74【侵入者】 ページ30

あかりがベッドの下に隠れた瞬間、赤い扉が音をたてて開いた。
思わず口を押さえて息を止める。




「ふんふふん♪」




聞こえてきたのは楽しげな鼻歌だった。
ベッド下からだと足元しか見えないが、鼻歌の高さ、細い足首、ヒールの高いパンプス。
それらから考えるに、どうやらこの部屋の主は少女のようだ。




「はーあ、ボスに会いたいなぁー。例の死神はボスの部屋に捕らえたし…つまんなーい」




「(…!)」




例の死神、とは死神さんのことだろう。
彼が今いる場所はボスの部屋らしい。




こんな所で重要な情報が手に入るとは思ってもみなかった。
少女の独り言、ナイスタイミング!
心の中で静かにガッツポーズをした。




「(死神さんは怪我をしてる…早く助けに行かないと)」




しかし、どうやって部屋から出るかが問題だ。
思考を回そうとしたその時だった。




「ま、いつかまた会えるからいいや!とりあえず着替えよーっと」




言いながら、少女がクローゼットの方に向かっていく。




「(まずい…!中には舞ちゃんが隠れてる!)」




心臓がドクンドクンと激しく鳴りはじめる。
どうなる、少女に見つかったら、舞は殺されてしまうだろうか。




ヒールを鳴らしながらクローゼットの前まで行った少女は、取っ手に手をかける。




「(やばいやばいやばい!)」




もう無理だ、助けられない。
自分の無力さに心が痛み、目を瞑った瞬間だった。




「……って、言うとでも思った?」




少女の低い声が部屋に響く。




「メイはね、とーっても耳が良いの!しっかり聞こえるわよ、侵入者の心臓の音が!」




あははっ!と面白そうに笑う少女_____メイの言葉にサァッと血の気が引いていく。




「(メイ…?メイって、死神さんを刺した少女だ)」




夕暮れ時、カルラという死神の隣に居たツインテール子。
偶然にも、ここはその子の部屋だったのだ。




「出てきなさい!女の子の部屋に侵入する不届き者の顔、メイがしっかり拝んであげる!」




隠れている三人の喉がゴクリと上下した。
もう、逃げられない。

*75【行って】→←*73【赤い部屋と足音】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
53人がお気に入り
設定タグ:死神 , バトル , 友情   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぺぽん(プロフ) - あくるさん» あくるさん、ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!気長に待っていてくださると幸いです。 (10月18日 10時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
あくる(プロフ) - コメント失礼します。すごくこの作品好きです!また更新が再開するのを楽しみにしています! (10月17日 22時) (レス) @page40 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 瀬戸 こすずさん» コメントありがとうございます!更新停止となりましたが、応援していると言っていただけて本当に嬉しいです。こうしてコメントをいただけると読んでくださっているんだな、と実感できて頑張ることができます。ありがとうございます! (7月15日 19時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸 こすず - 最近改名しました!一ノ瀬こももです。更新停止は寂しいですが、私はずっと応援します!頑張ってください! (7月15日 17時) (レス) @page34 id: 8b7f4b66dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 一ノ瀬 こももさん» 作品を読んでくださりありがとうございます。面白いと言ってくれることが本当に嬉しいですし、作品を書き続ける活力になります…!もっと読みやすく、綺麗な表現が出来るように頑張りますので、これからも応援よろしくお願い致します🙇 (6月18日 18時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年8月14日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。