*74【侵入者】 ページ30
あかりがベッドの下に隠れた瞬間、赤い扉が音をたてて開いた。
思わず口を押さえて息を止める。
「ふんふふん♪」
聞こえてきたのは楽しげな鼻歌だった。
ベッド下からだと足元しか見えないが、鼻歌の高さ、細い足首、ヒールの高いパンプス。
それらから考えるに、どうやらこの部屋の主は少女のようだ。
「はーあ、ボスに会いたいなぁー。例の死神はボスの部屋に捕らえたし…つまんなーい」
「(…!)」
例の死神、とは死神さんのことだろう。
彼が今いる場所はボスの部屋らしい。
こんな所で重要な情報が手に入るとは思ってもみなかった。
少女の独り言、ナイスタイミング!
心の中で静かにガッツポーズをした。
「(死神さんは怪我をしてる…早く助けに行かないと)」
しかし、どうやって部屋から出るかが問題だ。
思考を回そうとしたその時だった。
「ま、いつかまた会えるからいいや!とりあえず着替えよーっと」
言いながら、少女がクローゼットの方に向かっていく。
「(まずい…!中には舞ちゃんが隠れてる!)」
心臓がドクンドクンと激しく鳴りはじめる。
どうなる、少女に見つかったら、舞は殺されてしまうだろうか。
ヒールを鳴らしながらクローゼットの前まで行った少女は、取っ手に手をかける。
「(やばいやばいやばい!)」
もう無理だ、助けられない。
自分の無力さに心が痛み、目を瞑った瞬間だった。
「……って、言うとでも思った?」
少女の低い声が部屋に響く。
「メイはね、とーっても耳が良いの!しっかり聞こえるわよ、侵入者の心臓の音が!」
あははっ!と面白そうに笑う少女_____メイの言葉にサァッと血の気が引いていく。
「(メイ…?メイって、死神さんを刺した少女だ)」
夕暮れ時、カルラという死神の隣に居たツインテール子。
偶然にも、ここはその子の部屋だったのだ。
「出てきなさい!女の子の部屋に侵入する不届き者の顔、メイがしっかり拝んであげる!」
隠れている三人の喉がゴクリと上下した。
もう、逃げられない。
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ぺぽん(プロフ) - あくるさん» あくるさん、ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!気長に待っていてくださると幸いです。 (10月18日 10時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
あくる(プロフ) - コメント失礼します。すごくこの作品好きです!また更新が再開するのを楽しみにしています! (10月17日 22時) (レス) @page40 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 瀬戸 こすずさん» コメントありがとうございます!更新停止となりましたが、応援していると言っていただけて本当に嬉しいです。こうしてコメントをいただけると読んでくださっているんだな、と実感できて頑張ることができます。ありがとうございます! (7月15日 19時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸 こすず - 最近改名しました!一ノ瀬こももです。更新停止は寂しいですが、私はずっと応援します!頑張ってください! (7月15日 17時) (レス) @page34 id: 8b7f4b66dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 一ノ瀬 こももさん» 作品を読んでくださりありがとうございます。面白いと言ってくれることが本当に嬉しいですし、作品を書き続ける活力になります…!もっと読みやすく、綺麗な表現が出来るように頑張りますので、これからも応援よろしくお願い致します🙇 (6月18日 18時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年8月14日 11時