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*70【二人は対峙する】 ページ26

白と金を基調とした部屋で、死神とボスは向かい合う。
長い沈黙を破ったのはボスの方だった。




「あぁ、自己紹介がまだだったね。私の名はモルテ。モルテ・アフォガードだ」




モルテは死神を真っ赤な瞳で見つめる。




「さっそく本題だが…天音くん。ターゲットは殺したのかね?」




死神のターゲット、それは金藤あかりのことだ。
死神はニコリと笑う。




「もちろん、殺してません」




「…そうか…残念だ」




その瞬間、広い部屋が殺気に満ち溢れる。
肌がビリビリと震え、体に強い圧力がかかったような感覚に陥る。
死神は思わず顔をしかめた。




「私は君に猶予を与えていたのだよ。天音くん、君には期待していた。今までは任務を淡々とこなしていたではないか。
それが今はどうだ?ボスである私に歯向かい、ターゲットを生かしている」




死神がする行動だとは思えない。
モルテは肩をすくめ、呆れたように死神を見やる。




「そうですね…確かに俺は今まで、任務を淡々とこなしていました。それが自分の為すべきことだと信じていたから」




モルテの赤い瞳と、死神の青い瞳が交差する。




「でも、今回のターゲット…金藤あかりと出会って、自分が信じるべきものは正しいのか。そう考えさせられたんです」




あかり達と出会い、死神自身も変わった。
今まで信じてきた正義、考え方が本当に正しいのかと自問自答してきた。




「死神は、"死期が迫っている人間"を殺すのが仕事です。しかし、最後の最後まで人生を全うさせてあげても良いのでは?」




その言葉に、モルテは目を見開いた。
まるで珍しい生命体を見ているかのように、赤い瞳が揺れる。
そして次の瞬間、彼は目元を覆って笑い出した。




「くくっ、あはははは!君は面白いことを言うのだねぇ。数百年生きてきた中で初めて出会った。
…君のような馬鹿げた死神とは」




モルテの声色が冷たくなる。
冷酷な支配者のように、冷たく、鋭く。

*71【死とは救済】→←*69【白い塔を目指して】



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設定タグ:死神 , バトル , 友情   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ぺぽん(プロフ) - あくるさん» あくるさん、ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!気長に待っていてくださると幸いです。 (10月18日 10時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
あくる(プロフ) - コメント失礼します。すごくこの作品好きです!また更新が再開するのを楽しみにしています! (10月17日 22時) (レス) @page40 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 瀬戸 こすずさん» コメントありがとうございます!更新停止となりましたが、応援していると言っていただけて本当に嬉しいです。こうしてコメントをいただけると読んでくださっているんだな、と実感できて頑張ることができます。ありがとうございます! (7月15日 19時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸 こすず - 最近改名しました!一ノ瀬こももです。更新停止は寂しいですが、私はずっと応援します!頑張ってください! (7月15日 17時) (レス) @page34 id: 8b7f4b66dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 一ノ瀬 こももさん» 作品を読んでくださりありがとうございます。面白いと言ってくれることが本当に嬉しいですし、作品を書き続ける活力になります…!もっと読みやすく、綺麗な表現が出来るように頑張りますので、これからも応援よろしくお願い致します🙇 (6月18日 18時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年8月14日 11時

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