*67【子供の死神】 ページ23
松以外の皆は目を見開いた。
こんな街に小さな子供が居る。
黒いローブを着て鎌を持っていることから、この子も死神だと分かるが、それにしてもこんなに小さな子が居るなんて驚きだ。
「(子供でも死神になるのか)」
「あ、ごめんね。怪我はない?」
舞が幼い死神を覗き込む。
「うん、へいき」
ドクロの面を被っているが、声の高さと背丈からして少女なのだろう。
言いながら、少女は立ち上がってローブに付いた砂をはらう。
「こちらこそごめんなさい。あたしはイザナミ。あなたは?」
「…舞よ」
「舞、これから任務に行くの?それならあたしも一緒に…」
「アタシ達は急いでるの。さ、行くわよ」
イザナミの言葉を遮るように、松が低い声色で早口に言った。
想定外とはいえ、死神と接触してしまったことに少しばかり焦りを感じているのだろう。
人間だとバレたら大変なことになる。
松の後を追い、舞も歩き出す。
その時だった。
「まって」
舞のローブを、少女が掴んだ。
ドキリと心臓が跳ねる。
「な、なに?」
舞は無理やり笑顔をつくった。
隠し事なんて何もない、そう言い聞かせて。
「あなたたち…」
しかし、そう簡単にいくものだろうか。
少女のドクロの面がずいっと舞の顔に近づく。
そして、イザナミは囁いた。
「あなたたち、"にんげん"でしょ」
「ッ!違っ…」
「あたし、にんげんのけはいをよくしってる」
舞の顔が焦りに歪む。
刹那、イザナミから膨大な殺気が放たれた。
「ックソ、バレた!」
「全く、厄介なことになったわ…」
瑛斗と松が焦ったように声を出す。
その間も、イザナミは舞のローブを掴んで離そうとしない。
「あたし、にんげんはきらい。だいきらい」
憎しみの籠もった声で少女は右手を掲げ、パチンと指を鳴らす。
その瞬間、空からナニカが物凄い速さで落ちて地面に刺さった。
グサッ
「え…」
舞の足元すれすれに落とされたのは一本のナイフ。
鋭く光るそれを見た瞬間、全員の血の気が引く。
「にんげんなんて、みんなシんでよ」
直後、空から降ってきたのは雨でも雪でもない、鋭利な刃物。
「逃げろっ!」
誰かが叫んだ。
ナイフが頭にでも刺さってみろ、即死だ。
皆は一斉に地面を蹴った。
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ぺぽん(プロフ) - あくるさん» あくるさん、ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!気長に待っていてくださると幸いです。 (10月18日 10時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
あくる(プロフ) - コメント失礼します。すごくこの作品好きです!また更新が再開するのを楽しみにしています! (10月17日 22時) (レス) @page40 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 瀬戸 こすずさん» コメントありがとうございます!更新停止となりましたが、応援していると言っていただけて本当に嬉しいです。こうしてコメントをいただけると読んでくださっているんだな、と実感できて頑張ることができます。ありがとうございます! (7月15日 19時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸 こすず - 最近改名しました!一ノ瀬こももです。更新停止は寂しいですが、私はずっと応援します!頑張ってください! (7月15日 17時) (レス) @page34 id: 8b7f4b66dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 一ノ瀬 こももさん» 作品を読んでくださりありがとうございます。面白いと言ってくれることが本当に嬉しいですし、作品を書き続ける活力になります…!もっと読みやすく、綺麗な表現が出来るように頑張りますので、これからも応援よろしくお願い致します🙇 (6月18日 18時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年8月14日 11時