38、攫った犯人、その場所 ページ39
国木田は険しい顔で車を走らせる。
その瞳は、今は不安に満ちていた。
『俺の所為だ。何故もっと早く彼奴の側に居てやらなかった!』
乱歩の言葉を跳ね除けて探偵社を飛び出してから国木田は自分の事をこれでもかと責めていた。
Aが帰ろうとした丁度その時に、家が火事で燃えたこと。
盗聴器がつけられていたこと。
今までも異変はあったじゃないか。
それに気づいていながらも、頭の隅にある余計な『感情』が邪魔をしてAの側に居ることを拒んでしまった。
そして、探偵社を出る直前に偽物のAが出したヒント。
『二年前の事件』
そのワードを聞いた瞬間、国木田の脳裏に浮かび上がった人物はたった一人。
「横谷直哉」
国木田はその名を口に出し、険しい顔をもっと歪める。
Aを攫ったのは彼で間違いない。
「無事でいてくれ……A」
国木田は強く下唇を噛んでアクセルを踏んだ。
着いた場所は、人通りの少ない道にポツンと立っている廃ビルだった。
そびえ立つコンクリートの建物は窓ガラスも割れ、外観もボロボロ。
そんなこと気にもせず、国木田はカツカツと中に進んでいく。
音を建てずに建物内に入り込むと、埃が積もっている床に二人分の足跡が残されていた。
成人男性くらいの大きい足跡と、それより一回り小さな足跡。
『Aのものだ』
国木田は瞬時に理解する。
それと同時に、心臓の鼓動が早くなる。
ごくりと喉を上下させる音がやけに大きく響いた気がした。
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ゆいたろー!(プロフ) - ぺぽんさん» わー!有難う御座います!この作品また見たいと思ってたので嬉しいですッ!! (1月24日 21時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - お相手の作品が削除されたことを確認しましたので、再び公開しようと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します。 (1月15日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» ゆいたろー!さん、申し訳ありません。悩んだ末、二章以降を非公開にすることを決めました。こちらを読んでくださる人もいることは重々承知していますが、このまま盗作され続けるのは嫌でした。 (1月10日 18時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» 完結した後でも作品を読んでくれている方がいるのは、とても嬉しいです。作品を書き続ける活力になります。これからもこの作品をお楽しみください。他にも作品を投稿しているので、お時間があればそちらもぜひ。 (1月10日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - いえいえ、お役に立てて光栄です。これからもこの小説楽しませていただきます (1月10日 17時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年5月7日 15時