37、国木田の様子 ページ38
「他にって…」
谷崎がポツリという。
国木田の後を追った方が良いと考えていたのだが、
それ以外で自分達に何か出来ることはあるのだろうか。
不安げな表情をする一同に、乱歩は問うた。
「最近、国木田の様子が変なことには気づいていただろ?」
皆は頷く。
いつも真面目で理想に突き進む彼だが、最近は仕事中にボーっと何かを考えたり、書類のミスが増えていた。
最初は疲れが溜まっている所為だと誰も気に留めていなかったのだが。
『国木田くーん?…え……それ何やってるの』
『分かるだろう、報告書だ。書類を整理していたら白紙の報告書がこんなに出てきてな。俺としたことが、すっかり忘れていた…』
『え"』
国木田が太宰の書類を自分のものと勘違いして全てやってしまった時から、とうとう彼の寿命が尽きるのではと探偵社は騒ぎになった。
しかし様子が変になり始めたのは最近のこと。
それこそ二、三日前から。
そこまで気づいた皆はハッとして顔を見合わせる。
「そう。Aが来てから国木田の様子が変だ」
「でも、それとAが攫われたことに何の関係が…?」
皆が思っている疑問を口にしたのは敦だった。
「それだ」
乱歩は人差し指を敦に向ける。
「それがこの出来事の厄介なところで、国木田が変になった理由でもある」
「?」
頭のハテナが消えない皆を、太宰はどこか楽しそうに見つめている。
糸目の乱歩は何かを考えた。
分かりやすく説明する方法を探しているのだろうか。
少しして彼は言った。
「《横浜男性自 殺事件》を調べろ。そうすれば今までに起きた全ての出来事が繋がるし、国木田が向かった場所も分かる筈だ」
一同は顔を見合わせた。
今のところ、敦達は乱歩の考えていることが全然分からない。
Aが攫われたことと《この事件》の何が繋がるのだろうか。
だが、彼が言うのだから間違いない。
「じゃあ、僕と鏡花ちゃんは聞き込みをしてきます」
敦は鏡花と共に探偵社を出る。
それに続くようにして他の社員もすぐに動き出し、事件について調べ始めた。
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ゆいたろー!(プロフ) - ぺぽんさん» わー!有難う御座います!この作品また見たいと思ってたので嬉しいですッ!! (1月24日 21時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - お相手の作品が削除されたことを確認しましたので、再び公開しようと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します。 (1月15日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» ゆいたろー!さん、申し訳ありません。悩んだ末、二章以降を非公開にすることを決めました。こちらを読んでくださる人もいることは重々承知していますが、このまま盗作され続けるのは嫌でした。 (1月10日 18時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» 完結した後でも作品を読んでくれている方がいるのは、とても嬉しいです。作品を書き続ける活力になります。これからもこの作品をお楽しみください。他にも作品を投稿しているので、お時間があればそちらもぜひ。 (1月10日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - いえいえ、お役に立てて光栄です。これからもこの小説楽しませていただきます (1月10日 17時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年5月7日 15時