宣誓のシジジーを / 3 ページ20
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結論から言うとAは玉狛支部の監視下の捕虜という名目で玉狛支部暮らすことが決まった。
本部預かりではなく玉狛支部であることを許されたのはS級の迅、A級部隊の所属、ボーダー創設時からのメンバーがいる、等数々の信頼と実績のおかげである。これに尽きる。もちろんそれだけで許されたわけではないが、忍田が「もし危害が及ぶようなら責任を私がとる」とそうはっきり断言したのだ。そう言われたらもう黙るしか無かった、というのが本部側であった。
おかげでAは現状玉狛支部の捕虜として、定期的にボーダーの方に身体検査や情報提供とするという条件の元、あとは今までと変わらずに生活をしている。
「なんとかなってよかったねぇ」
「はい……」
「あんま良さそうじゃない顔だね」
「……あのほんとに、私は、その……」
Aからしたら複雑な感情なのは変わりないだろう。その意志も汲み取ってるのか、迅はAの口にどら焼きを押し付ける。
「まあまあ。それいいとこのだから美味しいよ」
「あ、ありがとうございます……」
「Aちゃんの考えてる事はわかるけどさ、おれがAちゃんのことちゃんと責任もって守るから」
「……」
「Aちゃんが怖くないように頑張るから」
リビングには2人。どら焼きを片手に話を聞くAを見ながら迅もどら焼きを口にいれる。しつこくない甘さが口に広がり、無性にお茶を飲みたくなる。さすが贔屓にしてるどら焼きだ。おいしい。
「ま、かっこつかなくなっちゃうから卒業だけはちゃんとしたいよねぇ」
Aはそう言い笑う迅を見て、学生だったんだ……と静かに思った。確かによく見れば中学生のAには難しすぎる難解な数式が並んでいる。
「Aちゃんにはまだ早いね」
「……学生、なんですね」
「あれ言ってなかったっけ。おれ18なんだよね」
「18……」
「そう」
「……大人かと思ってました」
そう言うAの言葉に迅は一瞬言葉を詰まらせたあと少し笑った。
「あはは、そんなこと言ってくれたのAちゃんだけだよ」
大人になんてきっとなれやしない。
おれの知ってる大人には、ずっとなれる気がしない。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月6日 22時
