Day 46 ページ47
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「初めての指揮だから、きっと今までの失敗を忘れてないかなあ」
ーー鈴屋班に配属して初めての任務で喰種を捕り逃がしてしまったこととか、0番隊と組んだ時にクインケを僕の腕に当ててしまったこととか。
「……やっぱりそれ怒ってるよね」
「え? あぁ違うよ、そんなつもりで言ったんじゃなくて……Aちゃん、今までにないくらい緊張してる。指揮ってことは皆の先頭に立たなきゃいけないってことだから、怖いよね」
うん、怖い。今までこんなこと思ってても、必ずなんとかしてみせる、って思うことができてたのに、最近のわたし本当に変なの。おかしい夢ばっかり見るし、毎晩怒られて叩かれるし。
「悩みがあるってことは、解決したいと思ってるからだよ。頑張る努力をしてるAちゃんがもし失敗したとき、什造くんは絶対に怒ったりなんかしない。「次があるですよ」って、笑って言ってくれるんじゃない?」
──すみません鈴屋先輩〜! サソリが刃こぼれしちゃいました!!
──おぉ、ほんとです。たくさん喰種と戦ってくれたんですね〜。
あ、そうか。
ああ、うん。
ごめんなさい、ごめんね。また勘違いしてたかもしれない。何度繰り返しても学べない私の悪い癖だった。
私のほうが鈴屋先輩といる時間が長いのに「絶対に」って言いきれる自信を持ってる佐々木くんに少しだけ嫉妬。なんか、いいなあ。
「佐々木くんのオムライスの話と今の話とで考えたら……えぇと、「成功に失敗はつきもの」」
「正解。ちゃんと後ろから什造くんが見守ってくれるから、Aちゃんは安心して自分のことをすればいいと思うよ」
目元にぷっくりと涙袋を浮かべていっぱいの笑顔をしてくれた佐々木くんは、私が食べ終えた皿をシンクの方へと持ち出した。
暗い気持ちになってたら、それこそとんでもない失敗しちゃう。頑張り次第で昇進が早まるかもしれないから精一杯やりきって、それで、鈴屋先輩に褒めてもらおうね。わあ、いいこと思いついちゃった。
「あっ、ありがとうね、佐々木くん」
「どういたしまして、僕でよければなんでも相談のるから」
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作成日時:2020年7月5日 15時