Cocktail [Zweite] -HSJ-

＊ ページ23

SIDE＿Arioka


『大ちゃんは俺のこと嫌いにならないの？』

ならないよ！なる理由ないもん。

『大ちゃんってキラキラしてるね。お日様みたい。
　俺もそんな風になれば嫌われないのかなぁ。』

俺みたいにならなくたって嫌われないよ。大丈夫だって！！

『ねぇ、大ちゃん？』

なに？どうかしたの？


『今、幸せ？』


…え？


『そんなにいい子ちゃん演じて。そんなに笑ってばっかりいて。
　大ちゃんなんて嫌い。大っ嫌い。


　絶対許さない。』


ねぇ、伊野ちゃん…？




『全部、全部お前のせいだ！！！』




ar「っ…う……！」
ym「おわぁ…びっくりした…」
ar「あれ、国王陛下…？」
ym「そうだけど…てか、お前まだ寝てろよ！バカ！！！」
ar「あ、すいません…」


…夢だよな。うん。

伊野ちゃんがあんなこと言うわけない。そんなに心がない人じゃない。
むしろ、良い人過ぎて困るぐらいには良い人だ。

そう思っても、焦りが思考を蝕んでいく。


ym「…伊野尾、だっけ。あいつのこと、そんなに気になる？」
ar「！！……まぁ、はい。」

ym「会ったら？」


しょうがなく。そんな感じで国王は確かに言った。
まさか、伊野ちゃんは牢屋にぶち込まれてたりするんだろうか…

だとしたら、完全に俺のせいじゃん…！！


ar「あの、伊野ちゃんはどこにっ……ってぇ…！！」
ym「わかんないけど、どうせすぐ来るだろ。

　俺、大ちゃんのこと信じてるからさ。
　直接話してみたら？さすがにもう逃げたりとかはやめてほしいけど。」


薄く微笑み、柔らかな声でそれだけ言った。

すぐ来るって、どういうこと…？

医務室を出て行った国王。しばらく何も出来ずに固まっていたら、ことん、と窓が小さく音を鳴らした。
不思議に思って近づけば、どうやってここに来たのかと思わず聞きたくなった。


ar「人…！？」


とりあえず窓を開けると、小さな未確認生物と、ローブを羽織った華奢な人。

…こんなに嬉しいデジャヴって他にあるかな。


in「来ちゃった。」




…あるわけがないよね。

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