薬屋と忍びのひとりごと 2〖薬屋のひとりごと〗 (ページ23)

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72 お見送りページ23

翌日

正門には多くの見物人が集まっていた……後宮に長く居た妃は昨日の格好とは違いとても女性らしい衣を着ていた

私は綺麗な桜が舞い散る幻術をかけ
主は阿多妃の前に立ち淑妃である証の冠を受け取っていた

門に向かう阿多妃に向かって泣きながら駆け出す里樹妃
阿多妃に何か話されるのを聞く姿は昨夜見せてくれた母親のあの顔だった

一通り話し終わった後立ち上がった阿多妃と目が合い微笑まれた後門を後にされ幻術を解き仕事に戻ったのだが

壬氏『麗華…阿多殿の時のあれはなんだ。昨夜何か話したのか？』

『勝手に阿多様へ倭国の花である〖桜〗を見せる幻術をかけただけです。昨夜は1人で月見酒で誰も居なかったでしょ？』

壬氏『…阿多殿から言伝だ〖綺麗な桜をありがとう〗だそうだ』

『お気に召して貰えたなら嬉しい限りです…では』

壬氏『待て。風明の件なんだが』

『それは私の管轄外では？』

壬氏様が話すには
風明の一族郎党皆殺しは回避したが全て肉刑に処された

阿多妃は今回の件に関わっていないため沙汰は無い

関係者の中には実家の商いの取引先も入っていた。
ただの養蜂場ではなく手広くやっていた為後宮内にも関係者は二千人中、八十名いた

その中の名に〖猫猫〗がいた

『隠蔽工作いたしましょうか？』

高順『隠蔽なら私がいたしますが』

壬氏『頼めるか？』

主はその判断が正解かを考えてる…引き止めるのが相手にとっての本望か分からないのだから……

高順『都合の良い駒では無かったのですか？』

辛辣に聞こえる言葉だがそうやって使える者を使い用が済めば捨てる…どの國だって同じだ
だが主はうつむき苦渋の顔をしていた

『壬氏様…猫猫は親類縁者ではなく関係者の1人。
毒味役は勿論薬師としての知識、調合、冷静な判断力と対処は後宮には必要です。
私も全ての医局に行けるわけではありません。ですが猫猫は自ら残りたいというより上の判断にと思うはずなので側にいて欲しいのであれば〖残りたい〗と言えるたずね方にしてみてはいかがかと』

壬氏『分かった……ありがとう』

退室後

高順『麗華が言った言い方をすれば答えは違ってくるでしょう。それが薬師の1人として置いて置きたいのか何かを少しは分かってください』

壬氏『分かってる』