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青と紫 ページ8

-カラ松




「やっと見つけた…クソ松」



はぁはぁと息を切らして階段を上がってきた一松が俺の隣にドサッと座る。




「夕飯前にいなくなんなよ。…こんなとこまで来させやがって」

「すまない、一松」

「それに俺の色まで借りるんじゃねぇよ」



そう言われバサッと青いパーカーを投げつけられた。
仕方なく一松のパーカーを脱いで自分の色を着れば、またしても胸の奥が苦しく締め付けられる。




「…何で神社でぼーっとしてんの」

「ちょっと一人になりたくてな…」

「ふーん」






「頭ん中には、ずっと二美がいるのに?」




適当な相槌と同じようなトーンでそう言い放った一松に俺は心底驚いてバッと隣の一松を見る。




「な、何を言ってるんだ一松…」

「今更誤魔化すんじゃねぇよクソ松。バレバレなんだよ」

「じゃ、じゃあ付き合ってたことも…」

「お前が隠れて何回もあいつにキス迫ってんの俺達見てるし」

「そ、そうだったのか…」



全てバレていたのだと分かり、恥ずかしさで汗がだらだらと背中を伝う。



(これじゃあ二美に怒られ……)



そこまで考えて、汗がぴたりと止まる。


何を焦ってるんだ俺は。
もう終わったことじゃないか。



どうやら俺はまだ彼女と付き合ってる気分でいるらしい。

最悪な言葉を彼女に言ったのは、俺の方なのに。




「…おいクソ松」



黙りこむ俺を見かねてか、一松が俺の頭を小突く。



「いつまでもうじうじしてんじゃねぇよ。このチキンが」

「一松…?」

「あいつにどう言われようが、お前はお前の素直な気持ちを言わないといけないんじゃないの?」

「俺の、素直な気持ち…」

「お前だって分かってるだろ。

…あいつは、自分よりも他人を優先するって」

「あ…」



二美は、いつもそうだった。
ずっと見てきて分かっていたはずなのに、何で気づかなかったんだ。




「…あいつの気持ちを引き出してやれるのは、お前だろ」

「……そうだな」

「分かったんならもう他の色着るなよ。皆迷惑してるんだから」

「あぁ。すまなかった」



立ち上がりズボンについた砂をパンパンと払い落として「今日の夕飯は何だ?」と尋ねる。



「オムライスって確か十四松が言ってた。何か凄い嬉しそうに」

「そうか…十四松に春がきたんだな」

「…は?」

「一松も頑張るんだぞ」



そう言って俺は階段を来たときよりは軽い足取りで降りた。







「………クソ松にアドバイスする前に、俺こそ決着つけないとな…」


.

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設定タグ:おそ松さん , 6つ子と6つ娘 , 恋愛/シリアス   
作品ジャンル:アニメ
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唯月 - 永久保存でお願いします(*^_^*) (2019年4月27日 19時) (レス) id: 0fc20caa15 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - その後のお話が読みたい! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - かや梅さん» ありがとうございます!何回も最初から読んでくれたなんて本当嬉しいです…!ありがとうございます!番外編は考えていませんが、新作を準備していますので、もうしばらくお待ちください◎長い間読んでいただき、本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミサキ@さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて凄く嬉しいです!!続きは考えていないのですが、新しい作品を準備中なので、そちらを楽しみに待っいてください(^^)再度読んで頂けるなんて…本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 椿姫さん» コメントありがとうございます!無事に完結できました。その言葉が本当に嬉しいです。書いた甲斐がありました。長編でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:M | 作成日時:2017年1月7日 14時

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