あの日の代償を ページ24
-チョロ松
(なんで?!なんでだよおそ松兄さん…!!)
出先に珍しくおそ松兄さんから電話がかかかってきて「緊急だから」と呼び出されたと思ったら、この状況。
呆然とおそ松兄さんの背中を見送りなんとも言えない空気の中、僕と三美ちゃんの間に沈黙が流れる。
(どうしろっつーんだよ……)
正直言って、彼女に会わせる顔がない。
無理矢理あんなことをしておきながら僕は何も言わずただただ彼女から逃げるように部屋を出て、申し訳なさと恥ずかしさから三美ちゃんと接することを避け続けた。
(…だからおそ松兄さんに相談したのに)
いつもは馬鹿松だとかクソ長男だとかまじでこいつ死ねとか思うおそ松兄さんだけど、やっぱり何かあった時行き着くのはこの人で。
全部自分が悪いのは分かっているけど、なんとかこの状況を打破したくて笑われるのと怒られるのを覚悟で相談すれば、「そんなの兄ちゃんに任せろ」とかいつものように軽く言ってのけて。
それにすっかり安心した僕は馬鹿だった。
冷や汗だらだらでちらりと向かいに立つ三美ちゃんを見れば、彼女は複雑そうな顔を浮かべていて、ますます汗が止まらない。
「えっと…ひさ、久しぶり…だね」
「…うん」
「さ、最近外回りが忙しくてさ!中々事務作業できなくてごめん」
「…」
「家帰ったら何か疲れちゃって夕飯の支度もできなくて…外で食べてくることもあるし、その…なんていうか…」
「…」
「………怒ってるよね」
「え?」
「その…あ、あの時のこと」
「…」
「そうだよね…」
こんな薄っぺらい謝罪と言い訳で済むわけないだろ。馬鹿か俺は。
本日何度目かの自分の馬鹿さを痛感した僕は、決心して彼女の手をきゅっと握ると、彼女の肩が驚いたようにびくっと揺らいだ。
そのまま顔の横に手を持ち上げて、「お願い、僕のこと殴って」と懇願すれば「…へ?」と彼女が口元をひくつかせて僕を見上げる。
「でっ…できるわけないじゃんそんなの!」
「お願い!じゃないと僕の気が済まないから!」
「いや!」
「なんで?!」
「いやなもんは嫌!」
「どうして…僕最低なことしたんだよ?!無理やりキスして口を塞ぐとか…」
そこまで言いかけると、かぁーっと彼女の顔がみるみる赤く染まっていき、それを見て僕の胸の奥がどくんと疼いた。
(うわ、近い…赤い…かわいい……)
長年童貞を拗らせていただけある。
こんな状況でもどこまでも僕はクズらしい。
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唯月 - 永久保存でお願いします(*^_^*) (2019年4月27日 19時) (レス) id: 0fc20caa15 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - その後のお話が読みたい! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - かや梅さん» ありがとうございます!何回も最初から読んでくれたなんて本当嬉しいです…!ありがとうございます!番外編は考えていませんが、新作を準備していますので、もうしばらくお待ちください◎長い間読んでいただき、本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミサキ@さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて凄く嬉しいです!!続きは考えていないのですが、新しい作品を準備中なので、そちらを楽しみに待っいてください(^^)再度読んで頂けるなんて…本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 椿姫さん» コメントありがとうございます!無事に完結できました。その言葉が本当に嬉しいです。書いた甲斐がありました。長編でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2017年1月7日 14時