検索窓
今日:8 hit、昨日:55 hit、合計:361,873 hit

その心 ページ9

.



「ふむ……」




Aは縁側にて柱に背を預けながら庭を眺めた

ここ数日、なにやらどこからか見られている気がする
けれどその姿はどこにも見えない
見聞色の覇気を使えどはっきりとどこにいるかは分からないのだ

ただ、いることだけはわかる、その程度しかわからない




「姉様?どうなさったのです?」

「珱…患者はよいのか?」

「はい、先程滞りなく」




桃色の着物をまといゆっくりと歩いてきたのは妹の珱
力を使ったからか、少しばかり疲れたような顔をしている




「そう。お疲れ様」

「ふふ、いいえ。
昨日は姉様がやってくれたではありませんか」




私とは違い、鍛えてなどいない珱には多くの患者を診るほどの体力はない
私は隠れて鍛えているからいいものの、前世よりはだいぶ弱いだろう
この世界の女人からすれば相当強い部類には入るだろうが




「父上は知らぬが、我らの力は無限ではない…
力を使えばそれ相応の疲れがくる。
なのに父上はこうも金のあるものばかりを呼び付け我らに病を治させる」




庭を眺めながら語る私の隣に珱は腰掛け、静かに聞いていた




「珱…しばし横になるといい。私がいる」

「よ、横になる…とは?」




私はクスリと笑い、膝をぽんと叩く




「膝枕だ。珱には特別に私の膝を許そう」

「え、えぇ!?」

「ふふふ、予想どおりの驚き方だな」




珱は相変わらず可愛いものだ
昔と変わらず、純真無垢に育ってくれた




「それ、はよう来い。私の膝が寂しいぞ?」

「もう!姉様ったら!」




そうもいいながら、失礼致します。と私の膝に寝転ぶ
縮こまりながら寝転ぶ珱の髪を微笑みながら撫でれば、見上げる珱は頬を赤く染めていく




「うう、もう、なんなのですか…!」

「なにが?」

「姉様はどこから見てもお美しゅうございます…。
私が妹など思えません…」




赤くなった顔を両手で隠してしまう珱
私はそれにまた笑った



「私がそうも美しいのなら…
実の妹の珱もまた、美しいに決まっている。
………珱は、母に似てとても美しい。安心せよ」

「そ、そういうことを申してるのではありません!」

「そう照れるでない。
私は本当のことを言っているだけだ」

「姉様!」




がばりと起き上がり、私の腕をペしりと叩く
叩いたと言えど当てたというくらいの力加減だが



「珱は、本当に愛らしい。私の可愛い妹だ」

「姉様…?」




その頬に手を当て、そのまま髪を耳にかけてやる



.

+++++→←+++++



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (142 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
382人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

カリディア(プロフ) - 最高です!続き楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年7月25日 21時) (レス) id: dddfdc4b55 (このIDを非表示/違反報告)
ポケモンラブ(プロフ) - 応援してます! (2019年7月17日 22時) (レス) id: 90acc880a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ポケモンラブさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆりさんさん» コメントありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2019年7月17日 21時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
ポケモンラブ(プロフ) - 続き気になりすぎてやばいから更新お願いします! (2019年7月17日 16時) (レス) id: 90acc880a8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年7月6日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。