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「おぬし…本当に…
よくもよくもやってくれたのぅ…!!」




恨み言のように言葉を並べる羽衣狐の声はAたちにも聞こえていた
しかし牛鬼とAはそれどころでは無い

刀を投げたはいいが投げたのは実に不安定な屋根の上
それを考えず思い切り振りかぶって刀をなけ飛ばしたものだからAはバランスを崩し下に落ちかけたところを何とか牛鬼がその手を掴んだ
間一髪である




「しかし今の刀はなんじゃ?
どこから飛んできたのかのぅ…」




ふと下へ視線を向けるも、Aが落ちかけていることで二人の姿が羽衣狐には見えず何も無かったかのように羽衣狐はぬらりひょんへ言葉を続けた




「あ、危ないではないですか…!」

「す、すまぬ…焦っていたものだから…」




牛鬼も心臓が浮くような感覚をたった今体験したようなものだが、ふと先程のAの投げた刀のことを思い出す
持っていた時にはごくごく普通の刀だったはず
というのにAが投げた時には何故か真っ黒な刀身となり、そして羽衣狐の尻尾を弾いていた
ただの刀ならば本来羽衣狐の尻尾の方が強いため刀の方が弾かれていたはず

しかし、その尾にも負けず弾いたあの刀
恐らく刀は何の変哲もない刀だろう
となれば、何かしたのはこの姫だということ




「………………」




治癒以外に、この姫にはなにか違う力も備わっているのか
そんな疑問が浮かんだ




「ま、またんか!!」




羽衣狐の焦った声に弾かれるようにして上を見あげれば、その瞬間、ぬらりひょんが羽衣狐を斬った




「お…おの…れぇぇええ」




淀の方様より出てきたのは狐のような影
あれが、羽衣狐の本体
Aはただそれを呆然と見上げるしかない




「おぬしら…ゆるさん
絶対にゆるさんぞ、呪ってやる!!呪ってやる!!
ぬらりひょん、わらわの悲願をつぶした罪…
必ずや償ってもらうからな。
おぬしらの血筋を未来永劫呪うてやる何代にも渡ってな…
おぬしらの子は孫は!
この狐の呪いに縛られるであろう!!」




今度こそ本当の恨み言を言い残した羽衣狐はそのままどこかへ消えていった




「これで…総大将が魑魅魍魎の主……」

「…………おめでとう、とでも言ってやろうか。牛鬼」

「…それは私にではなく総大将へ言って差し上げてくだされ」

「…………………………」



人間であるこちらからすれば、魑魅魍魎の主の代替わりなど喜んでいいものなのかいまいち分からないというのに



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カリディア(プロフ) - 最高です!続き楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年7月25日 21時) (レス) id: dddfdc4b55 (このIDを非表示/違反報告)
ポケモンラブ(プロフ) - 応援してます! (2019年7月17日 22時) (レス) id: 90acc880a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ポケモンラブさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆりさんさん» コメントありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2019年7月17日 21時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
ポケモンラブ(プロフ) - 続き気になりすぎてやばいから更新お願いします! (2019年7月17日 16時) (レス) id: 90acc880a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年7月6日 17時

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