No.28 ページ29
(桜井)
宮本さんの一通りの検査を終わらして医局へ向かう途中、珍しく勤務中に椅子に触ってボーッとしてるはるちゃんを見つけた。
一応、勤務中は冴島さんって呼ぶ事になってるから私は呼んだ。
『冴島さん』
え、はるちゃんどうした。
私の声がまるで聞こえてないかのようにスルーされる。
仕事中にボーッとしてる氷の女冴島なんてフェロー時代でも一度も見たことないんだけど。
『えっと…冴島さん？』
２回目もスルー。
え、私ってそんなに藤川みたいな扱いされてたっけ。
私の記憶が間違ってなければある程度の関係は作れてたはず、百歩譲って藤川よりは全然優しかったよね！？
『……あの、はるちゃん…？』
「あ、A。勤務中は冴島さんって呼ぶ事にしたでしょ、それでどうしたの？」
聞こえてなかったぁぁぁぁぁぁ！
泣いていいよね、私だいぶ頑張ったよ？
『……いや、あの』
「なに？」
『………2回ぐらい冴島さんって呼んだんですけど、スルーされて下の名前で呼びました…』
「え……それは、ごめん」
『それで？今回はどうしたの？』
私は溜め息をつきながら苦笑しつつ、隣に座る。今は時間あるし、呼び出されるまでは大丈夫のはず。
はるちゃんはキョトンとしていたけど、私の言葉の意味が分かったのか申し訳なさそうな顔をして顔を伏せる。
「あのね、私と藤川先生が付き合ってるのは相談したじゃない？」
『うん、されたね』
はい、アメリカにいる間ずーっと相談乗ってました。
恋愛経験とかない私に聞いても何も変わらんよって思いながら無い頭を振り絞って考えたのが懐かしいね。
どのテスト問題より難しかった。
「それで私、妊娠したみたいなんだけど頼れる後輩や同期が出来てフライトナースとして今が凄い楽しいの。赤ちゃんは嬉しいんだけど……」
おい、藤川。
はるちゃん、やっぱ悩んでたじゃんか。あの馬鹿なお調子者が。
ここで藤川に聞いたなんて言ったらアイツが死んでしまうから言わないけど、後で怒られろ。
『なるほどね、赤ちゃんは欲しい。でも仕事が楽しい今の時期は…って理由かぁ』
「うん、それに三井先生も休職されたばかりだし……」
『本当に優しいね。けど、こんな時ぐらい自分を優先したら？私と今はあれだけど藍沢もいるし、雪村さんだって頼れる先輩の姿を見て育ってる』
７年前のあの日、私のあの選択は正しかったか分からない。
はるちゃんが後悔しないよう選んだけど、結局悲しませてしまったから。
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Yuri - 更新、楽しみにしています！ (2018年8月2日 21時) (
レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - ☆ゆゆまる☆さん» ありがとうございます。すぐに確認し訂正させて頂きます。 (2018年5月27日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - みかさん» 返信遅くなりすみません。ありがとうございます、すぐに訂正します。 (2018年4月14日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
みか - No.１８で「行ってたの」が「言ってたの」になってますよ (2018年4月2日 13時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - 真衣さん» 感想ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2018年3月30日 14時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚希拓海 | 作成日時：2018年3月20日 21時
