【◇】 年上のカレ、誘惑中。

＊17 ページ19

・




『よいしょっと……』






あーもー………




なんで私がこんなこと………





大量のプリントを両手に職員室を目指して歩く






「お前暇そうだからそれ持って来て」






担任の先生に運悪くそう頼まれた






近くに居たのが運の尽きだった………






『はあぁー……』

「ぉわっ！」

『わぁっ！！』





廊下の角を曲がったところで誰かにぶつかり、




後ろに倒れそうになったところで






ぎゅっ、と腰に手が回った






「大丈夫か？」

『く、倉持先輩っ…！』





なんともイケメンな登場をする倉持先輩に
キューンとときめきながら、




慌てて「ありがとうございます」とお礼を言う





『なにしてるんですか？』

「あぁ、亮さんに用があるから
3年の階に行くとこ。Aは………」





「……パシリ？」と少し馬鹿にしたように
笑いながら言われる





『……そうですよパシリですよー』

「ひゃはは、怒んなよ」






機嫌取りの為かポンポン、と頭を撫でられた




その瞬間、「……ん？」と倉持先輩が
何かに気づいたように反応する






あ………気づいたかな………








「A、なんか付けてる？」









作戦その4




誘惑の香りでラブドッキュン(一也命名)









『な、何も付けてないですよ？』







嘘です



ちょっと甘い香りがする香水をかけてみました







「そうか？なんか甘い匂いがする」

『……っ』






スンスン、と私の首元に顔を近づける倉持先輩





は、鼻と吐息が当たってる………！！




顔から火が出そうなほど真っ赤になる私に
気づいたのか、







「わ、わりぃ……」







と慌てて私から離れた






あぁ、もう





離れなくていいのに………







「……運ぶの手伝うわ」

『えっ！いやいや！ご迷惑ですし』

「そんなことねーよ」

『で、でも！』

「俺がやりてーの」







「黙って手伝われとけ、ひゃはは」と
言いながら、






二カッと笑う倉持先輩






私がラブドッキュンされそうな勢いです……






＊

＊18→←＊16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す