【◇】 年上のカレ、誘惑中。

＊12 ページ14

・





「以上！解散！」

「「あざっしたぁ！！」」






監督に頭を下げてみんなバラバラと
解散し始める






寮っていいなー




ずっとみんなと一緒に居れるんだから






倉持先輩とだって朝まで
一つ屋根の下なんだよねぇ





自宅通いの私は寮生の人たちが
ちょっと羨ましかったり……







「A」

『わっ…ぁ、はい！』

「今日、送ってくわ」

『いいんですか！』






最近マネの仕事が忙しくて
一緒に帰れてなかったから




すっごく嬉しい







「じゃ、着替えて来るから待っ」

「七瀬ー」







倉持先輩の言葉を遮るように


亮介さんが現れた







『どうかしました？』

「今日、一緒に帰るでしょ？」

『あ、はい。倉持先輩と』

「俺と」

『へっ？』






意味が分からず間抜けな声を出すと、




バカ、と亮介さんに口パクで言われ
ようやく作戦のことを思い出した







「てことだから、七瀬は俺が送ってくよ」

「は？ちょっ……」

「行くよ七瀬」






亮介さんに手を引かれ、倉持先輩を通り過ぎる





ごめんなさい



でもあなたを誘惑するためなので……！！






惜しい気持ちをグッと抑えて亮介さんに
ついて行くと、









グイッと後ろから腕を引かれた









えっ………？





何が起こって………









状況が理解できないまま上を見上げれば、





怒り度MAXの倉持先輩がいて







『倉持先輩……っわ』







先輩に声をかければ、




グッと肩を引き寄せられる









「人のもんに、何してんすか？」








今まで聞いたことがない低い声が




薄暗くなったグラウンドに響く







「こいつ俺"の"なんで。俺が送ります」

「…………あっそ。別にいいけど」

『あっ……亮介さ』







亮介さんが悪者役みたいになってしまって
罪悪感がこみ上げてきた






そんな私の視線に気づいたのか、





亮介さんと目が合い








良かったじゃん。







と言うように微笑まれた







「じゃ、着替えて来るな」


『あっ……はい！』









これは








作戦……成功……？






＊

＊13→←＊11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す