ありがとう*紅玉 ページ30
❇︎紅玉side❇︎
このゲームを通して実感した。
人は自分のためならいくらでも冷酷に、そして残酷になれるということを。
目の前でも、争わなくていいはずの事で争いが起きている。
そしてマスルールが止めを刺すかのように、お兄様に向かって眷属器を構えた。
……殺すつもりだ。
紅玉「やめてっっ‼︎」
どうしてだろう、気づけば勝手に足が動いている。
そして……。
紅玉「かはっ……」
思い切り振り下ろされたマスルールの右手が、私の腹部をたやすく貫いたのだ。
急所を外され、声も出せず、ただただ中途半端に痛い。
そこからは赤黒い血がドクドクと溢れ出ている。
紅覇「あぁ……紅玉……!」
今の紅覇お兄様の顔は、見たこともないような悲しい悲しい顔だった。
お兄様……そんなお顔しないで。
紅玉「これで…いいでしょ?」
なんとか振り絞って出した声も、もう自分でも出ているのかすらわからない、小さな声だった。
紅覇「貴様……!」
マスルール「紅覇さん、もし紅覇さんが俺を殺したとして、紅玉さんは助かるんですか?違いますよね」
ズッと体から引き抜き、血まみれの手を見つめながら言った。
でも本当の事を言っているのは確か。
もうお兄様も何も言い返そうとはしなかった。
紅覇「紅玉!僕……紅玉の分まで生きるから‼︎だから……だから……!」
それが私が最後に聞いた言葉だった。
もう、何も悔いはない。
……いや、もう少し生きたかったけれど、最後に聞けたのが大好きなお兄様の言葉だったからかしら?
私はそのまま笑顔でこの世を去った。
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佐々木美華 - 面白かった (2016年3月25日 17時) (レス) id: c5f8b74580 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - つばささん» ありがとぉぉぉぉ!更新再開したよ!見てね(^ ^) (2014年9月5日 20時) (レス) id: 379fc1619c (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - 紅夜@ふぁよ.さん» ですよね〜!あの巻きついてる感じがいいです!更新再開しました! (2014年9月5日 20時) (レス) id: 379fc1619c (このIDを非表示/違反報告)
つばさ(プロフ) - 紅蘭さん» 見捨てる・・・わけないだろぉ~! (2014年9月2日 21時) (レス) id: 2bf427b38b (このIDを非表示/違反報告)
紅夜@ふぁよ.(プロフ) - 鏢いいっすよね.....欲しい.( (2014年8月31日 15時) (レス) id: 2494d77783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅蘭 | 作者ホームページ:http://kouran-ren
作成日時:2014年8月12日 14時