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｢っ暗っ…この辺こんなに暗かったっけ？ラウ君、手離さないでね。｣
｢うん…｣
いつもなら見えているはずの家の灯りすらも闇に飲まれたのか、真っ暗な道。行灯は辛うじて自分たちの足元を照らすほどの光しかない。
逆の手に握ったラウールの手を固く握って、辰哉は家があると思しき方向へと歩き出した。
そして、数米歩いたか歩かないか程の所で、ラウールが急に立ち止まる。
｢っねぇ、辰哉お兄ちゃん…｣
｢ん？どしたの？｣
｢前になんか、変なのがいるよ…？｣
怯えたように辰哉の袖を握りながら、震える手で前を指さす。前？と辰哉が振り返っても、暗闇以外は何も見えない。
｢大丈夫、何もいないよ？ほら、早く帰ってご飯にしよ？｣
｢まだいる…！こっちみてる、こわい…っ！｣
泣き出しそうな顔で訴えるラウールを辰哉が抱きあげようとした途端。
行灯が何かに吹き消されるように消えた。
｢え、何!?油切れ?!いやでも、亮平の家で借りたはずじゃ…！うわ、俺こういうの無理なんだってば…っ！｣
｢っうわぁぁぁぁん!!｣
｢っ泣かないで泣かないで、大丈夫、俺ここにいるから…！｣
一寸先すら闇に包まれ、足元も覚束無い。泣き出したラウールを落ち着かせようと抱きしめるものの、泣きやもうともしないラウールはひたすらに前を指さすだけだった。
｢えくっ、っいるの！こっち来てる…っ！怖いよ、助けてお兄ちゃんっ…！｣
｢大丈夫大丈夫、さっき見た時も何も…っ?!｣
霊感なんてものは全くない辰哉ですら、背筋が震えるほどの妖気。ただの暗闇だったはずの場所には、紫色の何かが蠢いていた。
｢っ嘘だろ…?!何なのこれ…っ！何が起きてんだよっ！｣
懐に入れていた石が、やけに生暖かい。
生憎、辰哉はこの類いの話は苦手な方である。亮平が色々と怪談やら奇談を話してくるが、その後帰るのが怖くて、いつも帰る時は亮平に送ってもらうほどには。
本能的にこれはまずい、と頭が警鐘を鳴らしているものの、行灯もなく、あたりは真っ暗。帰る道すらも分からない。つまりは、逃げられないのだ。
咄嗟にラウールを後ろに庇って、謎の妖気を放つ方を睨みつける。得体の知れない恐怖で息が詰まりそうだった。
｢っあ"、ゔ、み、づ、げだ…っ、｣
｢っ…?!喋ってる…？お前、一体何者なん…っ!?｣
目の前のものの呻き声が何かを話しているように聞こえて、辰哉が訝しげに顔を歪めた途端、
首を何かに巻き取られ、体が宙に浮き上がった。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
