、 ページ10
｢っけ、契約？なんだよそれ…というか、妖と人間って契約できるのか？契約ってそもそも何？｣
｢まぁ焦んなって。順を追って説明すると…まず、俺らはこの辺を守護してる妖だ。基本的には…あー、この村に妙なことが起きた時、村の人に影響が及ぶ前に片付ける、ってとこだな。｣
｢で、ここ数日矢鱈と村の方の妖が煩いんだよね〜。俺らはてっきりラウールが辰哉く…あ、呼びづらいから辰哉でいい？いいよね？辰哉に取り憑いたからだと思ったんだけど…｣
｢今の話からして、ラウールが元から神社を守護してる妖、ってことは無さそうなんすよね…元から妖なら、こっちの世界の着物を着て倒れてる、ってことは無いはずなんで。｣
何かに連れ去られたか、だと思うんすけど、と横目でラウールを見た蓮は、訳が分からないのか小首を傾げるラウールを見て、小さくため息をついた。
｢まぁ未だこの歳だし、記憶も無いみたいだし…何も分からない、って訳で。…だから、恐らくは原因はラウールじゃない、となれば、その原因を突き止めなきゃいけないわけで。｣
｢…かなり膨大な力だから、放っとく訳にも行かないしな。んで、丁度良く『適任者』が居たもんだから。｣
｢適任者って…もしかして、俺の事？｣
｢せいかーい！辰哉とラウールの気配に妖が寄ってくる、ってことなら、俺らが二人の事を護ってれば、辰哉が襲われることもないし、俺達は治安を守れる、一石二鳥だろ？｣
｢嗚呼成程…でも、それってラウールとかに影響は無いの？同じ妖なんだろ？ていうか…契約ってどうやるの？｣
｢大丈夫、契約するのはお前一人だしな。それに、俺らはラウールを成仏させるつもりも無いし、ラウールに影響はない。…契約してくれんのか。｣
｢…まぁ、俺もこの村を妖なんかに荒らされるのは嫌だし。それで護れるなら、別に良い、けど…?!っちょ、何して…｣
がしっ、と腕を掴んだ蓮の手に驚いて顔を上げると、大介がニコリと笑っていた。
｢一寸ごめんね、すぐ治るから〜。｣
｢っ痛っ…｣
小さく爪を出して手の甲をなぞると、辰哉の手の甲に血が滲む。少し顔を歪めた辰哉が手を引こうとすると、強い力で手を引かれた。
｢ひ、照？ちょ、佐久間も…目が怖いんだけど…っいだっ、！ねぇ、ほんとに何してんの、？｣
｢ちょっと黙ってて…我等、汝と契約せん。全ての愚かなる者に等しく滅びを与えん事を。｣
伸びた三本の手が手の甲に重なる。鮮烈な朱い光が目に痛くて、思わず瞼を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1064人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
