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受付を済ませた俺たちは、薄暗い中へと入る。

中はこれでもか、というほど寒い。



「大丈夫だ…怖くないぞ…俺はサッカーチームのエースストライカーだ…大丈夫だぞ…」


先ほどから若武は、こんな調子だ。

ブツブツ言っているから、呪いの言葉に聞こえて来る。



と、その時。

壁から無数の手が突き出された。



「うぎゃあああああああああああっ!」


今の絶叫はもちろん若武。

莉央が爆笑して、ビデオに撮ってるのが何気に面白い。



「は、はは…これくらいなんだって言うんだ。お、俺は怖く…ないからな!」

「その割にはめっちゃ噛んでないか?」


七鬼がピクピクと表情をひきつらせる若武に、鋭く指摘する。

と、その時。



「あれ?黒木、今僕の肩叩いた?」


小塚が自分の肩に手を当てて首をかしげた。

黒木は不思議そうな表情になり、首を横に振った。



「いや、叩いてないよ」

「え?じゃあ上杉?」


小塚が視線を上杉に向けると、上杉も首を横に振る。



「俺じゃねー。どうした、小塚」

「今、僕の肩に誰かの手が乗った気がするんだけど」



小塚がおかしなことを言い始めた。


「は、はははは。小塚、俺を脅かす気か?変な冗談やめろよ」



乾いた笑いを浮かべた若武だけど。

小塚はううん、と首を横に振った。



「本当だって。すごく冷たい手だったよ」

「う…」



明らかに表情の変わった若武。

怖がってる怖がってる。


と。



「ねえ、若武。怖いのは分かるけど私の髪を引っ張るのはやめてよ」

「は…?俺は引っ張ってねーぞ…おい、お前もか…?」



莉央の言葉に今度こそ、若武がガタガタ震え始める。

さっきまで、大丈夫だって言ってた若武はどこに行ったんだ。


と、今度はアーヤの声が聞こえてきた。



「あ、若武。後ろに何かいるよ」

「え…………」


俺たちはアーヤの視線を追って、その先を見てみた。


そこには…
ボサボサの長い髪に、大きく裂けた白いワンピースを着た裸足の女の子が立っていた。


その女の子は若武を捉えると、ニタァッと怪しく笑った。

間違いなく先ほどの莉央に似た悪魔の笑みだ。



「う、う、うわああああああああああっ!」



叫び声をあげた若武が勢いよく走り出すと、その女の子はそれを追うように走り始めた。


若武はそのまま、俺たちを置いて走り去っていった。

度々だが、ぎゃあああっと叫び声が聞こえて来る。



そんな叫び声を聞きながら、俺たちは呟いた。



「出るか…」

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作者名:心愛 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yuna101/  
作成日時:2017年10月26日 18時

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