双黒幹部様の仰せのままに…(文スト)

闇ニ染マリシ白キ華 5 ページ21

『……ここを左折、そして…右折して直進…と』

時折ある通気口から、部下達が慌てる声が聴こえる

アハハ…ハハ……ハ…ハ………



ｵｻｶﾞﾜｾｼﾏｽ…。

目を泳がせつつ、内心は謝罪祭り…
ま、まぁ…大丈夫だよ、うん、…ﾀﾞｲｼﾞｮｳﾌﾞ(遠い目←)

冷や汗をかきながら、口を引き攣らせていると…

『あ、あった…てっきり、もう無くなったと思っていたのに…』



目の前にある通気口

之は、首領の部屋にある通気口である

そう…これを開ければ首領の部屋の中なのだ



だから、襲撃の危険が心配され…もう使えないようにする為に塞がれた

……と、そう思っていた



でも、ここが空いているという事は
首領は覚えていてくれたのだろうか…？
私が、よく…



この道を使っていた時のことを…





昔と変わらないルート



各部屋を繋ぐ通気口



そして、この…首領の部屋の中に繋がる通気口





懐かしい…何時ぶりに通ったのか
色褪せない記憶を頭に浮かべながら、通気口に触れる
鉄の柵と網を外して、中に降りようとした時





否……鉄の柵に触れた時だった





突然、網が外れたのだ




『…わｯ!?!』




身体はするりと通気口を抜け、下へ下へと落ちていく




受け身を取る時間が無い…ｯ!!
嗚呼、治療室で安静にしていなかった罰なのか



次に来る衝撃に備えて、目を瞑る



全身打撲…決定だ




ドサッ…!!




身体中が痛い



痛い……いた…い…………筈…なのに



『…痛く、ない………？』





「君は、本当に危なっかしくて…目を離せないね」





頭上から落ち着いた声が降ってきた

ゆっくりと顔を上げると…



「こうやって、抱き締めてキャッチするのは…何時ぶりかな…？A君」





「否……A」


『首領……否、お義父さま…』

「昔に戻ったようだね…否、昔と変わらず…呼んでくれていいんだよ」

「Aは、私の家族、娘の様な存在なんだから…」



こうして、名を口にするのは




迚、久しぶりだ

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