第一章 3 ページ4
「大狼首領補佐__」
「其れは尾崎幹部、此れは太宰幹部に。嗚呼、そっちは私が貰う。其れは最終確認が未だだから。……嗚呼、後。昨日、無断で休憩を取ってたでしょう。次は無いと思いなさい。……知っているでしょう、一族諸共処刑対象になるわ。」
「もっ……申し訳ございません、しかし……!」
黒服の部下である男は、次の瞬間には息絶えていた。
「……星彩さん、容赦ないッすね。」
私に届け物が有ったらしく、私の執務室に来るなりそんな場面に出くわした中也は呆れたようにそう云った。
マフィアで上下関係は絶対だ。
目上の方に対して言い訳なんて、以ての外である。
私は処理班に連絡をすると、表情を変えずに答える。
「マフィアの流儀を命に刻んであげただけ。……文字通り、ね。____所で、如何したの、中原君?」
「嗚呼、そうだった……姐さんからの届け物です。其れから、首領から呼び出しが。」
そう云った中也に、私は書類から顔を上げる。
中也の後ろでは、既に処理班が仕事を始めていた。
……それにしても呼び出し。
理由は幾つか考えられる。
一つ目は何かしら私が失敗を犯した可能性。全く無い訳では無いが、恐らく違うだろう。
二つ目は命令に背いた事による処刑。此れは有り得ない。
三つ目はエリス嬢と逢引がしたい首領が私を使おうとしている可能性。大いにあるが、此れではないことを願っておこう。
四つ目は一番無難だが、首領直々に私に任務を言い渡される可能性。有り得なくは無いし、前例も有るが任務ならば伝言かメモなんかを私に渡せば善い。中也がマフィアを裏切る可能性は全く無いのだから。
「……判った、直ぐに向かう。あと「中也」……治と喧嘩するのは賢いとは思えないよ。」
私は、袖から包帯が少し見えている目の前の少年に微笑んでみせたのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月27日 16時