パパと娘のほんわか毎日【黄】3

連れ去り未遂 ページ6

Aside


今日も学校のお勉強終わった！
宿題は、確か計算ドリルがあったんだっけ！


男「おーい、そこの君ー！」


ちょっと太ったおじさんが、わたしに手をふっている。


「なんですか？」


男「君のお父さんが事故に遭ったんだ！ 病院へ行こう！」


「えっ……！？」


このおじさん、スタッフさんじゃない。なんでパパのこと知ってるの？ なんでAに声かけてるの？
Aはこのおじさんなんか知らない！！


男「はやく乗らなきゃ！」


おじさんは、わたしの手を思いっきり引っ張った。
痛い！！


「いやっ！！」


防犯ブザーを鳴らさないと！！
でも防犯ブザーはランドセルの左側。Aの左手、今おじさんに掴まれちゃってる！

なんとか右手で鳴らさないと！


こ「Aちゃん！」


この声……ころちゃんだ！
声のする方を見ると、ころちゃんとさとみくんがいる！


「ころちゃん、さとみくん！」


おじさんの様子を見ると、2人はこわい目をした。


さ「はぁ？ お前何やってんだよ！」


「このおじさん……パパが事故にあったって……」


こ「パパなら、今作業中だよ！」


やっぱりおじさんの言ってることは、ウソだったんだ……！
パパは事故になんかあってなかったんだ！


こ「すいません、僕たち、この子の親と知り合いなので電話かけて本当か確かめますね」


さ「ナンバープレートは……ふむふむ」


さとみくんは、車の数字をまじまじと見た。


男「あぁぁ！！ やめろぉぉ！」


おじさんの大きな声にビックリして、わたしは思わずころちゃんにしがみついた。

おじさんはそのまま猛スピードで、車を走らせて行ってしまった。

さとみくんも、素早くナンバープレートの写真をスマホで撮ってくれた(まじまじと見てたのは、演技だって言っていた)から、すぐにおじさんは捕まった。



すぐ家でそのことを聞いたパパは、わたしを抱きしめながらさとみくんところちゃんに頭をぺこぺこ下げていた。

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