【ニコライ・ゴーゴリ】 契約書を熟読しろ道化師。 【文豪ストレイドッグス】

契約項目・弐拾参 ページ26

_________天空カジノの、と或る部屋で

















「……寝た、かな？」













現在時刻、23時55分。

良い子の皆は、もうとっくに夢の中に居る時間だ。












私の横ですやすやと、気持ち良さそうに寝る彼女も、良い子の部類に入るのだろう。

















「全く、困ったもんだよねぇ。








今日合ったばかりの道化師紛いの男に、此処迄心を許しちゃうんだから。


















まぁ、其れが彼女の良さでもあるけど。」















誰かの返事も無く、私の声は完全に部屋に吸収されるだけ。



















ふと、隣の彼女に目を向ける。



『すぅ…すぅ…』














月明かりに照らされキラキラと輝く、手入れの行き届いた髪。


滑らかな弧を描く長い睫毛。


ふっくらとしていてほんのりと桃色に色付いた唇。











そして、












「_______幾ら何でも、無防備が過ぎるでしょ。」



















寝間着姿のまま私の服の裾を握って離さない、小さな手。



















…其れ等全ての持主は、私の好きな人な訳で。



















「私は道化師何だよ？



















なのに、君は何でこんなにも、耳を貸してくれるんだい…？」



















彼女の髪の毛を触り乍ら聞いても、聴こえて来るのは規則正しい彼女の寝息のみ。



















けれど、彼女は凄く幸せそうな顔をしていて。



















「……本当に、君には敵わないなぁ」



















そう云って、私も身体を布団の中へと滑り込ませる。



















せめて今だけは、彼女と一緒に良い夢を見られる事にと期待し乍ら。



















「何があっても、君は_________Aちゃんだけは、"僕"が自由にしてあげる。」



















そう呟いた後、僕が彼女の額に口付けしたのは、僕と夜空だけが知っている事だ。



















そうして次の日、顔を赤らめた彼女の悲鳴で僕は目覚める。














🕊𓂃𓂂𓏸𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍出逢い編、終幕。𓈒𓏸𓂃໒꒱𓂃◌𓈒𓐍𓈒 𓂃𓂂𓏸 🕊












NEXT・日常編、開幕。

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